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アルの部屋


[134] 柚木 凛・物語20
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《真剣勝負》


ユキさん、
コイツはねぇ
卑怯者なんだ…。

善田、酔ったのか?
ユキちゃんに絡むなよ?

ユキさんにじゃない、
天野、お前に言ってんだ
お前はぼくと
勝負するのを
敢えて避けた…

また、その話か?
お前、シツコイぞ?
もう10年も前の話だ。

いや、ぼくにとっては
まだ、終わってない。

俺はお前との試合で
一度も勝ったことがない
剣道ではお前の方が
俺より上だった。
それは結果がはっきり
証明している。
それでいいじゃないか。

よくない。ぼくは、
お前に試合で勝てても
勝負では勝ってない。
お前は、小手・胴打ちを
封印して、面一本に
拘った。
直球だけしか
投げないなら、
どんな剛速球だって
いずれ打たれるさ。
天野、お前は
友だちであるぼくとの
勝負を敢えて避けたんだ

善田、もう止そう。
俺は
負けた時の言い訳の為に
面一本に拘るフリをした

違う!
面打ちしかしないお前に
ぼくは辛うじて試合には
勝てた。
お前が
すべての力を出せば
ぼくなんか相手にさえ
ならなかったはずだ。
ぼくはずっとお前に
負け続けているんだ…
鈴さんとの事だって…

オイ、善田!
その話は止めとけ!

わかった、
その話は止める。
じゃ、天野、なんで
今の会社に来たんだ?

何言ってる?
お前が誘ったから
来たんじゃないか。
俺は失業中だった。
誘ってくれて感謝してる。
ありがとう。

天野、
お前はぼくを
ずっと昔から
軽蔑してるんだろう?

バカ言うな、善田。
もう飲むの止めとけ。
今日は飲み過ぎだ、
善…

ボコッ!!

善田さんっ!
何するんですかっ!
暴力は止めて下さいっ!


ユキさん…ごめん。
天野、すまん。

いや、いい…。

主任、大丈夫ですか?

ああ…大丈夫だ…

主任、口から血が…。
ジッとして…


天野、ユキさん。
先に帰る。すまん…。

2010/06/19 (Sat)

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