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アルの部屋


[150] ナースコール
詩人:アル [投票][得票][編集]


彼女は82歳。
自分の娘に対しても
礼儀正しく
「お名前聞いても
よろし?」
と何度も尋ねる。

彼女は
今日も車椅子の上
個室の病室の
壁に向かって
独り静かに
座らされている。
ナースセンターが見えると
無闇矢鱈に
ボタンを押してしまうから

ナースたちも
命を賭けて働いている。
彼女たちを責めることは
出来ない。

記憶は復讐劇。
憶えていない方が
仕合わせな時もある。
でも
ぼくの記憶は
彼女の後ろ姿の
映像と共に
当分消えそうにない。

2010/07/27 (Tue)

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