詩人:アル | [投票][得票][編集] |
カァ〜とひと鳴き
見上げれば
夕暮れの電柱に
真っ白な鳥一羽
んなバカな
でも鼻先膨らんだ嘴
体長やシルエットは
紛れもない
カラスそのもの
疑う僕に
も一度カァ〜
白いカラスって
やっぱりいたんだ
吉兆か
不吉な前触れか
1秒迷って
ニンマリ微笑んだ
買い物帰り
エコバッグ片手に
ボタン式の横断歩道の前
行き交う車の流れに
敢えて
竿差すような気になれず
急ぐ旅でもあるまいにと
誰か来るのを待っていたら
早速、路の向こう側で
黒い人影がボタンを押した
信号が変わり
左右に視線を配って
道路を渡りながら見直すと
もうそこには誰の姿もない
代わりに
横断歩道の真ん前の
立派な門構えの
日本家屋の扉が
バタンと閉じる音が
聞こえた
いつまで待っても
自分でボタン押さなきゃ
信号は青に変わらないぞ?
間抜けな僕の替りに
親切な人がボタンを
押してくれたのだろう
もしかしたら
その人は
あの白いカラス
だったのかも知れない
僕は2秒考えて
またニンマリ微笑んだ