決して当たり前なんかではないその体温を重ねてはずらす狭い部屋君はアタシと居ると楽だと笑ったけれど君はアタシの胸に秘めた酷く醜い欲望を知らないから「アタシも」と口元だけ笑って背を向けた二人乗りの自転車しがみつく背中の温度が遠くなる頼りない次の約束を「またね」とかわす改札口君が好きだからこそ楽でも幸せでもないアタシは家という日常に着くまでどんな顔して帰ればいいんだ
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