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おるふぇの部屋


[14] ホームラン
詩人:おるふぇ [投票][編集]

カキーン!

という渇いた音と共に

舞い上がった白球

どこまでも

どこまでも

飛んで行くように思えた


僕が打った

たった一本のホームラン

手に残る感触は

今も

強く確かに残り

ぎゅっと

握り締めていたんだ

毎晩


あれ以来

思い出しては

感慨に浸ったりもしたけど

もう

あんな会心の当たりは

二度となかった


汚れた白球に残る記憶

それは過去の栄光

たった一度のスポットライト


すがっては

しがみついて

それを心の支えにしたりして

今日までやってきた


でももう

あのホームランのことなんて

誰もみんな

覚えてない


来る日も三振

また来る日も凡退

そんなのイヤだ!

こんなもんじゃない!

このままなんて

まっぴらごめんさ!


もう一度

打てってやる

この人生に

でっかいホームラン


冴えない毎日に

アーチを架けろ


そんな汚れた白球

捨てちゃえよ

チャンスを逃すな

結果を恐れて

ビクビクしないで

フルスイング!




いつかまた

打てるだろう

三振や凡退ばかりの日々に

起死回生の場外ホームラン!

2011/01/28 (Fri)

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