ホーム > 詩人の部屋 > 蒼月瑛の部屋 > 投稿順表示

蒼月瑛の部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] 逃避
詩人:蒼月瑛 [投票][編集]

嘘ばかりついて、逃げた
ちょっと躓(つまづ)いて逃げた
手を差し延べる友のぬるい優しさから逃げ、
私を追放しようとする社会の酸っぱい正義から逃げた

太陽の光だけは私を照らしてくれる。
でも、私はこの光が嫌いです。

私はどこへ行くのだろう。
いや、わかる。
この胸はしっかり理解している。

紅く反射する鏡。
この胸を反射させ、みなに知らしめたい。
そう思った私に、嫌悪すら感じた。

紫と染まった
トンネルをくぐる。
私の足音が共鳴しあい聞こえる。
まだ存在しているようです。

金木犀(キンモクセイ)の香りが鼻につく。
私は疲れきっていた。


それでも逃げて、逃げて
ふと辺りを見た。
誰もいないところまで逃げたようだ。

2009/12/06 (Sun)

[2] 盲者の僕
詩人:蒼月瑛 [投票][編集]


僕気づいたよ

大切なものほど

目には見えないんだ

だからね僕は

いっつも見失ってばっかり

2009/12/07 (Mon)

[3] 影姿-エイシ-
詩人:蒼月瑛 [投票][編集]

血祭りのように、飛び散ったペンキを
拭き取ってみるの。
あなたは生き残れるの。
ふと耳をかすめた。囁き声。
そこには、何もないように見えた。
背中をえぐる冷酷な息。
ただこの感情を覚えていた。

暗黒の闇から広がる、朽ちた金管楽器の不旋律な重低音。
闇の中から出てくる影。
そこにいるのは誰?誰なんだい?
影は消えた。

まんまるい大きな月は闇の中で1つ輝く。
月は、闇を飲み込んでやくれないの。
それだから、光ってるの?
孤独であるのを知って欲しいの?
あんなに大きな月でさえ、この胸の奥の闇さえも照らすことはできないの。
誰か私の心を、照らしてよ。

だから、私はこの胸を開いてるのよ。何もかも。
傷つくより愛されたいよ。

何も届かない、この胸が、涙と変わる時さえも
愛しくなんて思えないよ。
ただただ憎んでしまうんだ。

人との楽しい時さえも
何でもいいと思えるよ。
後から気づいてしまうけど、それまでは夢を見てみていたい。

闇のあの影が。月から手を差し延べてくれたんだ。
私は迷わず手を握ったんだ。

影は光を飲み込んで、真っ黒に染めてしまうけど、
月夜に照らされ飛び散った。

私の体は少しずつ冷たくはなってはしまうけど。
悲しくなんてないんだよ
そんなこと言うと
最期くらい人として生きてみたいんだ

闇夜の月に照らされたのは真っ黒に染まった私だった

2009/12/23 (Wed)

[4] 想い
詩人:蒼月瑛 [投票][編集]

いずれ君はいなくなる。

僕の前からも、この地球(ほし)からも。

僕は知っている

いつか誰かが口にしていた言葉を

「人は失ってから、そのもの大切さに気付く」と

もう言われなくたってわかってる

君の大切さに気付く日が

前代未聞の大粒の涙が僕の涙腺を壊す日がやってくることを

わかっていても、どこか、今いる君で満足している僕がいる

君をもう求めてはいけないんだよね。

でも、君の鼓動が聞きたくて、離れたくないよ。

ずっと君は隣にいてほしい

ずっとその温もりを感じていたい

更には、死んで欲しくなんかないし、老いて欲しくもない。

でも、それは君じゃないよね。

悩み凍える君だって、痛み耐え抜く君だって

それが君の全てならば

僕はただその全てを愛すだけだ。

2010/03/13 (Sat)

[5] 
詩人:蒼月瑛 [投票][編集]

つまらない夢を見た。

私はぽつりと立っており、分厚い小窓から見える外界をただ呆然と見ていた。

外界にいたのは私だった。これまた私と同じようにただ呆然とどこか一点を凝視して立っている。

それがどこなのか、この小窓からは確認できない

この時、私はこれは夢だと気づいた。

と同時に、外界に異変が起きた。

もう一人の私が突如うずくまり、もがき苦しみだすのだ。

けれども、私はいやに冷静でそれを凝視するだけ。

もう一人の私は断末魔のような叫びを一つまた一つとあげている。

ふと私は誰かの視線を感じた。

針のように鋭い視線。

私はそれに突き刺されたように強直してしまった。

目を見開いているのがやっとであった。

額には、夢だから許されるくらいのとてつもなく冷たい汗が滲み出ている

たが、私はそれを拭えない

恐怖と不安と痛みで私の心が震えだしていた

そこで私は目を覚ましたのだ。

覚めてもなお、刺さった針は抜けはしない。

2010/03/13 (Sat)

[6] 飴玉の味
詩人:蒼月瑛 [投票][編集]

見えてるけど、遠くにあるもの

見えてるけど、その甘さに頬を赤らめることはできないもの

私にとっての飴玉はまだ未開拓の大草原

それは一種の世迷い言
だけど、私にとっては切なる願い事

一度も口にしたことがない
その飴玉をひょいと誰かが放り投げ、弧を描いて、うまいこと私の口へと運んでくれないだろうか。

それとも、誰かが四方に配る飴玉を知らん顔して口へと運んでみてはどうだろう。

しばらくすると
飴玉は届いた。いや、私が勝ち取ったのだ。
案外それは簡単に手に入った。

けれど口にしたそれは私が想像していた味ではなかった。

甘くするための砂糖や添加物、その他諸々が何重にもコーティングされ、混沌たる形状化された味

耐え切れず吐き出した

飴玉は抗うことも許されず、無抵抗に地へと堕ちた

土がべっとりとこべりつき、唾液が溶かした混沌たる何かで濁った飴玉は静かに行儀よく座ってる

その時、にゅうっと隅のほうから伸びてきた手

それは今まで飴玉を食べられなかった子のものだった。

その子の手が、私の口から吐き出された飴玉を
手に取ると、そのまま自身の口へ放り込んだ

呆然、唖然、驚愕そして軽蔑した

あんなに不味いものをしかも私が食べ吐き出し土までついてしまったものを

あの子は
平然と口にした

理解不能

顔色一つ変えず、口を規則的に動かし続けている

時折砂利の砕ける音が聞こえてくる

それでも、淡々とその子は口を動かす

その子を見ているとふと気付いた

その子だけじゃない

私の周りにいる子はみんな何かを舐めている

それは飴玉だとすぐに理解した

と同時に、私がこれからどうなるかも理解できた

隅から伸びてきた手に抗うことは許されない

2010/03/12 (Fri)

[8] 裏かえし
詩人:蒼月瑛 [投票][編集]

悲しみを裏かえし
苦しみを裏かえし
憎しみを裏かえし
怒りを裏かえし
さよならを裏かえし
ごめんなさいを裏かえし
口喧嘩を裏かえし
戦争を裏かえし

そうして
世界は裏かえった

2010/03/13 (Sat)

[9] 逃げ場なんてないんだよ
詩人:蒼月瑛 [投票][編集]

死ぬなんて言うな

― 死んだって何の解決になるんだ?

― 人様に迷惑かけて
お前は何様だ?

― 死ぬ勇気があるんならなんでも出来るよ

― 死にたきゃ死ね
どうせ死なないくせに

みんなそう言うけれど

死んでも逃げ場なんてないんだよ

そんな気がする

2010/03/13 (Sat)

[10] 虚夢
詩人:蒼月瑛 [投票][編集]

ふと思った
恥をかいてみたい

恥ずかしながら私はろくに恥をかかずに生きてきた

ちょっとした天使のお告げか、はたまた悪魔の囁きか。

でもそうするには、私の中や周りに邪魔者が多すぎる

それは今も昔も変わらないだろ

恥ずかしいことを恥ずかしがらずにやっている人を見ると

私は多分みんなと一緒に馬鹿だな と嘲笑うだろうな

そういうことを知ってしまってから

そういう目を知ってしまってから

私を良くも悪くも育てたのは、そういう目なのだろう

けれど、 新しい世界を知ってみたい

縛られた人生とはおさばらしたい

なんて考える度にいつも 私も子供だな と頭をかく

そういう馬鹿が許される年齢ではない

だからこそ、この感情に終焉はない

終わらない夢を叶えてみたい

それはある意味真っ直ぐに生きてきた私のちょっとした退屈しのぎ とでも言っておこうか

そうすりゃ問題ないだろう

たくさんの嘘を散りばめて生きてきた

嘘が私を育ててくれたといったら過言だと思ったが、案外当たってたりするのかも知れない

でも、嘘をつくと何かが堕ちる音を聴いていた

それと相反して、背徳感は私に覆い被さった


だからだろう
神様は私の散りばめられた嘘をかき集め、不細工に貼り付けて創った
夢という嘘を見させたのだ

思い切り馬鹿やっても許される嘘の世界

少しばかり大暴れする
背中を覆う背徳感情はすっかり風が拐って行った

そして、みんなと一緒に嘲笑おう

馬鹿だなと

2010/03/15 (Mon)

[11] 記憶の削除
詩人:蒼月瑛 [投票][編集]

僕の記憶がなくなる5秒前
逃げ場なんてあるわけない
迫り来る魔の手に
僕は今何を思うの?

僕の記憶がなくなる4秒前
そこは静寂の中に降り頻る驟雨と空に放たれた閃光の後から飛来する轟音が足された世界
これまで生きてきて僕はよかったよ
たくさんの友に囲まれて、たった一人の女性とも出会うこともできた
俗にいう素晴らしい人生だったよ
後悔なんてない。といったら嘘だけど
でも、それなりに満足している
それが幸せの代償ならそれでもいい。

僕の記憶がなくなる3秒前
それでも彼女に言えてなかったな
「ありがとう」って
でも、僕は死ぬんじゃない。
ただ記憶がなくなるだけ。
その僕と彼女はきっと楽しい生活を営むんだろうなあ
そこに僕が立ち会えないのは残念だけど
・・・アレ?

僕の記憶がなくなる2秒前
僕は記憶がなくなるだけ?
いや、違うだろ。
僕は僕でなくなる
僕は、あの素晴らしい時間を失う
ということは、僕じゃない誰かが
僕の知らない誰かが
何喰わぬ顔で、僕として生きるということ
じゃあ僕は、どこに行く。
なくなるのは記憶だけ
それは蜩の脱け殻か。
僕は死ぬ

僕の記憶がなくなる1秒前
それは僕であって僕ではない。
僕?ぼく?ボク?
じゃあ何が残っていれば、僕なんだ
どれが僕であって、どれが僕ではないんだ?

じゃあ結局僕って誰な…




ボクハダレ?
遅れてやってきた轟音が特別大きく鳴り響いた

2010/03/20 (Sat)
24件中 (1-10) [ 1 2 3
- 詩人の部屋 -