詩人:蒼月瑛 | [投票][編集] |
悲しき慕情が降っている
嬉しき人情が落ちている
私はそれを拾いあげ、
知らん顔して、食べちゃうの。
味なんかないけれど、私はまた拾いあげ食べちゃうの。
そんな自分に
気づいてしまうのはずっと後
それでもなお、私は駄々捏ねるの
ごめんなさい
悲しき慕情はどこへ行く
嬉しき人情はどこかへ行った
悲しき慕情はまた泣いて、嬉しき人情消えちゃうの。
もう食べちゃわないよ。
そう呼び返すのだけど
悲しき慕情は止んでしまった。
嬉しき人情は帰って来ない。
ああごめんなさいと呟くの。
詩人:蒼月瑛 | [投票][編集] |
「ごめんなさい」
僕は君に謝りたい
あんなことしてごめんなさい。
全部僕が悪いのに
君は「俺も悪かった」と言って励ますの
その励ます言葉が、僕の心を揺るがしていることに君は気づいているのでしょうか?
僕は君に謝りたい。
どうやったら許してもらえるの?
君はそっけない顔して「許したさ。」って言うんだよ
それは嘘。僕には分かる。
だって君の目がそう言っている。
僕は君に謝りたい
何て謝ればいいんだろう?
ごめんなさい。ごめんなさい。
君は、何度か汚い目で僕を見た。
僕には分かるよ。
よく君の目の色を見てるから。
何でそんな事するのかな?
何度も冀うのに?
君は「来るな」って言うんだよ
僕が近づきたくたって、君から逃げるから。
安心して。僕は追いかけたりしないから。
ごめんなさい。
そう言いたいだけなんだ。
僕は君に謝りたい。
僕は君に謝りたい。
僕は君に謝りたい
僕は君に謝りたい。
僕は君に…
よかった…
やっと会えた…ね?
逃げ場なんてないんだよ??
君は子馬さんだね。
詩人:蒼月瑛 | [投票][編集] |
「ごめんなさい」
もうこの言葉だけは聞きたくない
確かに最初はムカついて
あいつは何やっても駄目だから
つい「頼んだ俺が悪かった」そうキツイ言葉を突き付けた
自分でも、言い過ぎたって思ったさ
だから「あのことは許すから、もう気にすんな」ちゃんと出来るだけ優しく言った。
あいつの澱んだ目を見ながら。結局あいつは、悲しそうにうつ向きながら笑っていた。
それから、しばらく何事もなく生活していた。
でもある日、俺は気づいた
誰かが見ている
俺のことを遠くからじっと息を殺しながら、ずっと。のしのしと。
そこにいたのは、光を失って死んだようなあいつの目だった
あいつはいつも悲しそうな顔をしている。
そういえば、あいつの嬉しそうな顔を見たことがない。
いつも悲しい笑顔を作る。 笑い方を知らないのかも知れない。
それから毎日視線を感じる。
あいつはただ俺に視線を送っているだけなのに俺はどうしてこんなに怯えているのだ。
あいつには威圧感の片鱗すらないだろう。
なのに何でこんなに震えるんだ。
その時に
「ごめんなさい」
はっきり聞こえた。
まわりには誰もいないはず。
「ごめんなさい」
もう一度さっきよりはっきりと聞こえた。
詩人:蒼月瑛 | [投票][編集] |
体内の臓物から何かが込み上げてくる。
この感覚。何で気付かなかった。この視線に。
あいつは悲しそうにうつ向きながら、泣いている。
ごめんなさいと呟きながら。
く…来るな。来るな。
気付いた時には、一心不乱に逃げていた。逃げた。逃げた。逃げた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
背後から聞こえてくる囁き声。
全身が寒い。冷たい汗が滲み出る。
影が俺を追いかける。
前がよく見えない。何でだよ。目を力一杯に拭う。
その時
光りが閉ざされた。
逃げ場なんてないんだ。
怯える俺に、立ち塞がったあいつは嬉しそうに笑って見せた。
初めて見る嬉しそうな笑顔に
恐怖は高まる
震える俺は情けなく立ち上がれない
そうまるで生まれたての子馬のように
そしてこいつはまるで、子馬を襲わず立ち上がれず苦しむ姿を楽しむ死神のように
もう駄目かも知れない
さあ早く殺してくれ
そう覚悟を決めて目を瞑った。
その時にはもう身体の震えは消えていた。
包む静寂と多重する時間
どのくらい経っただろう
積み上げられた時間の重みに耐えかね俺はそっと片目を少し開けてみた
影の先のあいつは
悲しそうにうつ向きながら、泣いていた
詩人:蒼月瑛 | [投票][編集] |
止まない雨がそこにはある。
明けない夜がそこにはある。
今日は妙に明るい夜だ。
蒼然たる月は、いつもより大きく見えた。
「綺麗な夜だ。」思わず口にしたくなる。
月の光は色のない、真っ白な部屋におぼしき幻影を作る。
その蒼さと言ったら、誰かがくれる菊の花とよく似合う。
うすらぼけた光と私が織りなす影が、鏡となって、私を舞台へと引きずり出した。
最初で最期の大舞台。
少しだけ緊張してきたのか、身震いがする。
たくさんの観客もいない。セットも少々盛大さに欠く。
それでも、この舞台は台本通りに進んでいく。
その正確さといったら、どんな精密機械ともひけをとらないだろう。
決められた道に沿って、照らされる舞台。
そうこうやって台本通りにゆっくりゆっくりフィナーレの時を迎えるのだ。
これまで数々の舞台を見てきた。
その中でもこの舞台は、短かくにも、非常に落ち着いたいい舞台だったろう。
そして、この舞台も、もうすぐ終わる。全て終わる。
客の静寂が涙となる時。
そうこの台詞とともに。
そして、その時がゆっくり2回ノックした。
私は大きく息を吸った。
止まない雨がここにはある。
明けない夜がここにはある。
私は静かに呼吸を止めた。
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春雨の降る少し肌寒い今日
久しぶりに会った君は、より美しくなっていました。
懐かしいあの頃の思い出は、くすんでいってしまったけど
君が僕の思い出に鮮やかさを吹き込んでくれました。
今の君は昔と変わらず花のような人です。
君と思い出話をしているうちに、あの頃の思いが蘇ってくる気がしました。
久しぶりのこの感情に僕はちょっぴり嬉しくなりました。
まるで昔に戻ったかのようなそんな錯覚に。
僕はちょっとした遊びを思いつきました。
「実は僕、君のことが好きなんだ。」
そう言ったら君は、驚いた顔をして僕を見ます。
僕はわざと上を見て
「冗談だよ。今日は何の日かわかる?」
君もようやく分かったらしく、ニッコリと笑ってくれました。
そう今日はエイプリル・フール。
一年で唯一嘘が許される日。
そんな不思議な日の力も借りて、僕は昔の僕の思いを伝えました。
懐かしい思い出とそれを蘇らせた君に「ありがとう」と言いましょう。
もちろん、この気持ちに嘘はない。
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僕は純粋だ。
どこまでも透き通っていて、穢れのない。まるで水晶のよう。
ああ、きれいだ。
ほら、見ろよ。
今でも目から涙を流せるんだぜ。びえんびえんとお布団の中で。
凍えるようにぶるぶる震えながら、泣いている。
自分より他人が大事。
嘘はみんなのためにつく。
まるで飴玉のように可愛らしく笑う。
僕は純粋できれいだ。
誰も、お父ちゃんもお母ちゃんも、みんな笑ってくれる。
泣きたいよ。もう。
詩人:蒼月瑛 | [投票][編集] |
握った両手が脈を打つ
遠方の見知らぬ誰がために
私は純粋人みたいに願った
私の力は銀河系の小さな星にも遠く及ばぬ微弱なもの
それで救えというならば
私は神にもなれるだろう
しかし、願うのは 命だ! 鼓動だ! 振動だ!
重ねた両手は脈を打つ
不思議な生命力をたぎらせて
願えばこの手に命が宿る
詩人:蒼月瑛 | [投票][編集] |
君が出口を盗んでしまった。
聞こえてる 聞こえてる
もうどんなさようならも嘘だね。
ただ一つの真実だって君が壊してる
愛した君が 怪物みたいに見えるよ
早く君を手なずけたいね