大事なあなたを
目の前にして

大事な場面

ここぞという時に

“愛してる” の 一言が

言えないでいる

お前が居なくなったら 生きていけない

そうやって

繋ぎ留めようとするあなたは

卑怯者です

綺麗な顔立ち

黒髪のくせっ毛

嫌いだと言う
左手の指

大きくて強い目と視線が交わる度

私は 動けなくなる

“グレー”がないねと

よく 言われる

いつだって

“白”か“黒”かに別けたがる

愛想笑いができない訳じゃない

ただ そんなに

器用じゃないだけ

触れ合うだけで

日々の
苛立ちや重圧から

抜け出せてしまう

そんな安らぎを

あなたの体温から
感じたんだ

何かあった？と
電話の向こうであなたの声

違う

何もない

ただ あなたと

繋がっていたかっただけ

好きじゃない
と 言った

嫌い とは

どうしても
言えなかったから

どこが好きなのか

今となっては

上手く
言葉には出来ないのだけれど

あなたが
いなくなる事だけは

考えられないでいる

あなたはただ
優しい顔で

おしゃべりな
私を眺めてた

あなたを
からかってみると

その口を塞ぎたいと

顔を 近付けてくる

この瞬間が
１番好きで

私は また

おしゃべりを繰り返す

なんで？

“なんでも”

どうして？

“どうしても”

この 問い掛けに

私は
答えを求めていない

二人で顔を見合わせて

少し 笑う

その瞬間に流れる空気が

ただ 好きなだけ