味気ある虚栄の木に身も蓋もない勇気が生りました。その木が朽ちる時、その木はまだ生きたいと思いました。実に様々な花を、ピンキリの実を、焦がれた葉を、纏っていました。最後の最後まで、木は自分が何か知りませんでした。動けないので、只考えに耽ったものの、的外れな物ばかり。学者は、只の木と言いました。
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