人は、悲しみは、生きた甲斐は、名前のある人も、ただ消える。ゴミ箱に捨てたちり紙のように店員に貰ったレシートのように文字を書かれるチョークのように大きい波の前の小さな波のように道端に出来た少し大きな水溜りのように長く伸び過ぎてしまった両手の爪のように昨日空を見上げるとあった綺麗な青と清い白のようにどれだけ人を幸せにしてやってもどれだけ人を苦しめてやってもどんなに努力をしていようとどんなに延命していようと。でも待っているものは一緒じゃない。
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