人様の考えに及ばずむしっけらは笑っていた。人様が笑っているときむしっけらは悲しんでいた。虫けらはただ虫けらなだけ。ただの虫けらはまるで虫けらでしかない。これは虫けらが人様を愚弄したときに判明する。虫けらのようにいればそれは虫けらなのかどうなのか分からなくなる。虫けらよ、そこに立て。立ったらそいつは虫けらじゃなくて人様だ。
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