詩人:竜宮這 | [投票][編集] |
せかいがある
おれは一人の人間に過ぎない
残念ながら神ではない
くやしながら創造者ではない
おれはせかいにいる
どこにいるかはわからない
どこかのどこかにいる
俺は一人の人間に過ぎない
駅の人込みの中に俺はいるかもしれない
街の人込みの中に俺はいるかもしれない
どこか学校のどこかの教室に俺はいるかもしれない
俺は死亡するのを望んでいる
俺は現実にうんざりしている
もうこころなどない
やぶけてどこかのかぜにとんでいった
なにかの水でびしょびしょにぬれた
だれも俺に気付かない
俺もたまにしか気付けない
世界のどこに俺がいるのだろう
だれか知っているか
ごみのような地球上の、どこに俺と言う人間はいるのだろうか
だれか知っていないか
詩人:竜宮這 | [投票][編集] |
雨上がりでじとじとしている坂道の端を水が滑り落ちる
今日は猫も烏も居ない静かな物だった
家も電信柱も堂々として動かず、木の葉だけが僅かな風を教えてくれた
今日俺は闇に飲み込まれそうな気がする
いつの日かこの坂がとても明るく照らされていたのを思い出す
あの日俺は何を考え何を思っていただろうか
今この坂を見ても少しも分からない
もとから坂なんかに興味なかった
空ばかり見上げていた
あの日の空はもっと晴れていたと思う
詩人:竜宮這 | [投票][編集] |
明くる日僕は消えていることだろう
明くる日僕が消えても誰も分からないだろう
明くる日僕の死体が片付けられるだろう
かつて存在していた僕は
今この世界に存在している
今、僕は、この世界にいる
多くの人々と共に、今この世界にいる
おそらく、確実に
かつて僕より先の未来を生きた人などいるだろうか
今僕は最先端にて虚無の波に呑まれまいと・・・
呑まれれば最後、僕を置き去りにして時が駸々と流れてゆく
僕も過去の闇の中に、闇として迎え入れられ、僕もまた闇となるのだろう
詩人:竜宮這 | [投票][編集] |
どこを見てるんだい
こっちをみなよ
右を見れば右には居ない
左を見れば左には居ない
右だって言ってるのに
右だって言ってるのに
どうして明後日の方向なんか
そこが右だと思うのかい
こっちを見ないか
もう、見れるもんなら見てみろよ
詩人:竜宮這 | [投票][編集] |
只そこに現実があるだけだ。
そこって何処?
そこってのは現実がある場所さ。
じゃあ此処は何処?
現実と妄想の狭間だよ。中立地点。
只そこに現実があるだけさ。
詩人:竜宮這 | [投票][編集] |
この世に存在しない者にとって全てがあまりにも無意味だ。
絶望も興奮も熱情も激情も冷酷さも何もかもが無い。
希望も無く、幸せも無く、全てを持たず、かといい不幸も何もない。
今日俺が歩いた道に、俺の影はあったろうか。
きっと無かった。
吸えない煙草を吸った気になっている時だけ、幸せになれるようだ。
詩人:竜宮這 | [投票][編集] |
あなたがたが冷笑するならば、私とて笑わざるを得ない
あなたがたは嗤えど、私はあなたがたへ対する冷めた笑いと自嘲とが混ざるのだ
私はあなたがたが何故笑ったのか知らなかった
考えようともしなかった
どうやれば自分の体面を繕えるかとばかり考えていた
原因も考えずに、敵だと決め付け精一杯に貶すだけだ
さも見苦しく、また、気味悪く、もう誰も哂わぬ・・・。
今は私の私へ対する嗤いだけだ・・・。
詩人:竜宮這 | [投票][編集] |
ピチピチ跳ねる
見える夢に心躍らし、見えない夢に息が詰まる程の絶望を感じ
その繰返し
ピチピチ跳ねてはおさえつけられ
ジタバタしても、もう遅い
僕はどうしてもっと大海を泳ぐ心地よさを一心に味わわなかったのだろう
そんな後悔、もう遅い
あの大海を縦横無尽に僕は泳げた
もう遅い
あれは夢だった
今から僕は死ぬ
もう、どうも、何も考えたくない気分だ
早く一思いに
私は死んだ
私は人であった
詩人:竜宮這 | [投票][編集] |
何も分からない
俺は一体何なのだろうか
彼らは何者なのだろうか
これは、一体なんなのだろうか
一切合切、もう俺には分からない
まるで全てが触れられる蜃気楼だ
喧騒なようでしじまな妖霧の世界
この世界では上とはどこを指すのだろうか、下とはどこを指すのだろうか。歩いているのかさえ分からない。前へ進んでいるのかさえ分からない。むなしく無重力に空転しているだけではあるまいか
とりあえず行くか
行き先は知らぬ、これが最善かなど知らぬ
今最善だと思うことをやってみるほかあるまい
何も、分からないのだ