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ゆなぎの部屋


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詩人:ゆなぎ [投票][編集]

好きだよと笑った私に
あなたは寂しそうに笑った
知っていた 知っていたんだね
すれ違った好きが こんなにも寂しい事

例えば色が違った
甘く優しく包むような淡いオレンジと
触れれば燃えて灰になりそうな程の紅と

例えば温度が違った
暖かい春の陽だまりと
焼け付く夏の日差しと

例えば重さが違った
2人ならどこへでも飛んでいけそうな翼のような軽やかさと
深い青に沈むような鉛と

そばに居られるだけで充分で
それ以外は何も望まない私と
2人だけの特別をずっと欲しがっていたあなたと

すれ違った好きが、いつしかあなたを蝕んで
私を傷付ける前にと 手離してくれたこと
気付かずに恨んだ 欲しいと手を伸ばしてくれなかったこと

あなたの色を、温度を、重さを
その全ての違いを知ったら
私は怖がって傷つけて、逃げたはずなのに

きっとこの先出会うことはないくらいの
重い愛を、私に寄せてくれてありがとう
同じ重さではないけれど
たしかに私も愛して居たから

どうかあなたが幸せで居てくれますように。

2018/08/19 (Sun)

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