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ゆなぎの部屋


[64] 傷痕
詩人:ゆなぎ [投票][得票][編集]


空ばかり見上げた
消えていった灯は
この灰色の空に
還るのだろう

銃声がやんだ
消えていった灯に泣く
ぼくらはどこへ
還るのだろう

全てを奪われた 心
全てを奪った 罪
繰り返す連鎖は 解けないまま
呪いのような 叫び

誰のための正義か
誰のための争いか
わからないまま
わかれないまま
過ちと気づかず

引き金に手をかけた

誰かを殺した手で
誰かを護ろうとした
全てを壊した手で
全てを創ろうとした

消えていった灯は
この灰色の空に
引き金を引いたぼくは
この赤色の空に

確かな傷痕を遺して
それぞれの空に還る

2010/08/13 (Fri)

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