詩人:soRa | [投票][編集] |
僕のピアノの鍵盤にはいくつもの傷がある
この街のノイズや心の悲鳴や叫びを五線譜に記すたびに増えていった傷だ
君はその傷を撫でるように優しいメロディーを奏でてくれる
悲しい歌ばかり刻まれて来た僕のピアノは
照れくさそうに音をはずしたりしたけど
その優しい歌に満足気だった
僕は初めて愛の歌をつくった
とうてい君には及ばないのは知っていたけど
五線譜にならんだ音符たちはとてもなだらかな表情を見せた
詩は書かないでおこう
このメロディーが二人の愛を奏でる時が来るまで
ありがとう
あなたがくれた
光に満ち溢れた優しいメロディー
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疲れていたのか
二人は素裸のまますぐに深い眠りに落ちた
孤独を抱え縋るような二人の暮らしは
互いの欲望だけが人間としての形をかろうじて保っていた
十代最後の冬
僕らが逃げ道に選んだのはガラスの小瓶に詰められた真っ赤な錠剤だった
幻覚幻聴が激しく二人を襲い覚醒した中での愛を互いの体にばらまいた
二人はそれを拾い集めるかのように愛し合い
また深い眠りにつく
朝を迎えると二人の孤独は静かに目覚めを待っていて
逃れようのない現実になす術もなく立ち尽くすしかなかった
灰色に縁取られた孤独
それがすべてだった悲しみの冬
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心を閉ざすのは簡単な事だよね
作り笑いも上手に出来るし
嘘だって平気でつける
色々と都合がいいんだよね
心を開くなんて馬鹿げてる
勇気も要るし
努力も必要でしょ
素直になんかなれっこないし
それに誰かの所為にしておけば
それで済んでしまう世の中だしさ
それでいいんだよ
それで・・・
でもね
いつも知らぬ間に涙が溢れてくるんだよね
誰の所為でもないのにさ
そうそう
本当は分かってるんだよ
この涙のその訳を
偽り続ける事なんて出来ないんだ
心の摩擦から生ずる
自己矛盾の中で
答えを見出せないまま生きていくのは辛いね
やっぱり自分との葛藤なんだよね
誰の所為でもないのだから
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街の風に晒されて
薄汚れた路上に這い蹲った
もう何もかも諦めてしまおうか
ただ漠然と立ちはだかる街の羅列が
疲れ果てた心を奪って行く
限りなく原色に近い太陽の光が
容赦なく照り付けて
僕の体を溶かして行く
白旗は用意されていた
それを掲げるだけだ
僕はそれを掴み出来るだけ遠くに
放り投げた
僕の敗北を待っている者よ
あなたの前に跪くには
まだ少し早いようだ
僕の両足は辛うじて動いているから
もう少し前に進むよ
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何処からか拾い集められたあなたの言葉は支配的で脆い
きっと誰もが心を固く閉ざすだろう
でも
そこから逃げ出したりはしない
組み込まれてしまうのも流されてしまうのも時には仕方のない事
それでも僕らは諦めない
自分を捨てたりしない
たとえあなたの言葉にこの肉体が揺れ動かされようとも
僕らの心は僕らのままだから
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寂しさに歪んだ顔で
精一杯の笑顔を浮かべる君がとても愛おしい
夕べ見た夢の話を聞かせてくれないか
あなたは夕べも出てこなかったわ
だから楽しい夢だったのよ
君は今日一番の笑顔を見せて意地悪そうにそう言った
二人の愛も
二人の時も
ゆっくりと深く刻まれて行く
やがておとずれる朝の光が二人を照らし出すまで
ずっと抱き締めているから
こうして迎えた朝には
僕が出てきた夢の話を聞かせてくれるかい
別れ間際に見せる君の寂しさに歪んだ精一杯の笑顔が愛おしい
それは僕の宝物
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限りなく純粋だった君の叫びは
バラバラに破壊されてそれは無残に飛び散りこの街の黒ずんだ雪の塊のようにあっけなく溶けていった
誰にも気付かれることなく
誰にも気遣われることなく
はきちがえた自由のなかで本当の自由を見つける術をなくしてしまった彼等は
その行動を正当化するための理由ばかりを探して
あろうはずもない答えをそれぞれの自己矛盾の中で曖昧に中和し既存する自由の中に身を置くことを受け入れてしまったと言うのか
覚醒しているのはこの街で
幻想は現実ではないのだ
間違いを裁くことは誰にも出来やしないのに
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君がつく嘘はとても素敵だよ
だってね
悲しいくらい寂しかったこの僕の心をこんなにも元気づけてくれたのだから
でもね
もう無理かもしれないよ
外人墓地に建てられた十字架のように君の嘘の言葉たちは綺麗に並べられているけど
僕が君へつく嘘は
あからさまに君を傷付けてしまうし
いくら心を通わせても分け合えるものなんて何もないから
何よりも触れただけで壊れてしまいそうな繊細な君の本当の姿を知ってしまったから
本当に辛かったのは君でいつも強がっていたのを知ってしまったから
本当のあなたを愛し始めてしまったから
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あなたはいつも綺麗な詩を聴かせてくれました
この街の片隅で足早に通り過ぎて行く人並みの前で一心不乱に歌っていたあなたを今でもよく覚えています
あの大きな野外ステージで歌っているあなたを見たときは本当に嬉しかったです
あなたの気持ちがみんなに伝わり最後は涙で声にならない大合唱
あなたの涙もみんなの涙もとても綺麗でしたね
今でもよく覚えてますこの街のあなたの生きざまを・・・
あなたの親友達はみんな頑張っています
それでは また
親愛なるあなたへ
soRaより
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手も足も出ない
幾つもの矛盾で積み上げられたこの壁はその不動さを誇らしげに見せつけ
堂々と静かに立ちはだかっている
人間の愚かなるすべての勝敗を嘲笑っているかのように
この壁を打ち破るはずの正義は泥にまみれ浄化される事もなく置き去りにされ
その存在すら意味を持たなくなっている
だから手も足も出ないんだ
この壁を避けるべく遠回りする人々の列に紛れてからがら生きているのが精一杯なんだ
そんな自分に矛盾を感じながら・・・