詩人:soRa | [投票][編集] |
退学の日
僕は放送室でブルーハーツの
”終わらない歌”を歌った
午後の授業の始まりを告げるチャイムの後だった
僕は学校が好きだった
僕にピアノを教えてくれた女教師も
家出したとき横須賀まで迎えに来てくれた
担任教師も
僕を毛嫌いしていた生物教師も
本当に好きだったんだ
スカートの丈を短くすることをしなかったあの子と
夜の渋谷で二人だけの秘密を持ったとき
少しずつ
少しずつ
何かが変わって行くのが分かったんだ
遥ざかって行く
いや
遥ざかろうとしていたんだ
あの子のスカートの丈が短くなったのは
理由なんて無い事も知っていたし
変わってしまったのは僕だけだったのも
よく知っていた
いつのまにか居場所なんてなくなっていた
僕は最後まで歌った
それからひとつ深呼吸をして
ざわめいた学校を出た
終わってしまった日に歌った
”終わらない歌”を
僕は今日も歌っている
僕は学校が好きだった