詩人:黒 | [投票][編集] |
かき鳴らすベースも消え失せて
ロフトから落っこちたのはあの映画のサントラだった
亡骸の心配をする男を余所に
彼女のブルースは鳴り続き今も地中海の水に混ざる
サヨナラ サヨナラ
今日が最後
だけどこのまま目覚めなかったら
躯は墓に入れられてしまうよ
ジャニスみたいになりたいかい
だからってダイナマイトでバラバラにしようだなんて
都合の良い事を考えたものだ
完全に消える方法も
黒自身になる事も
お前にはどちらも叶わないよ
お前にはどちらも叶いはしないよ
black
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生ぬるい夜更け
練り上げるようなグノシェンヌ
強烈にえぐられ
混沌とする頭を整理する事もできず楽器を置く
生ぬるい夜更け
吐き出すようなグノシェンヌ
このまま眠りたい
横目でベースを見て目を外す
無限グノシェンヌ
眠ることを許さない
転げ回っても叩き壊しても変わらない
無限グノシェンヌ
眠る事を許さない
今さらエリックを消したって止められない
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a black world
目の前を歩いていた少女がいきなり消えてゆく
a black world
虫の死骸
今度は本当に死んでいた
フレッドレスベース
ロックンロールを話題に喋る少年達
a black world
フレッドレスベース横目に少年達が消えてゆく
黒への思いを永久によぎらせ消えゆくモノを見失う
教えてよミスタースクリャービン
教えてよミスターグールド
横目に少年達が消えてゆく
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壁越しに聞こえる懐かしいピアノ
すっかり一人部屋になってしまった白い部屋
柱の傷跡
幼い頃の思い出
二段ベッドの上には夜更かし好きの姉がいて
下にはきっと生意気だったに違いない私がいた
二人で壁越しに聴いた母のピアノ
幼かった私はいつも途中で眠ってしまい最後をはっきりと聴いた事がなかった
家を出て七年
歳をとり少々の人間のイロハを覚え岐路を前
再び壁越しにそれを聴く
その間 その癖
やっぱり私はあなたの子なんだなと思う
立ち上がりゆっくりとドアを開けると心地よく広がる白いピアノ
改めて見る後ろ姿は軽やかだがずいぶん歳をとったように感じる
すぐに私に気付いたのか少し笑っているようにも見えた
しばらく演奏を楽しむと母は最後にジムノペディを弾いた
弾くはずのなかった母のサティ
その音は愛と青い悲しみに満ちていて私は音感を忘れて泣いた
涙が止まらない
母はあの日からきっと毎晩この曲を弾いているんだろう
岐路を前に私を呼んだ理由が少しだけわかった気がした
ありがとね母さん
拍手は無いよ
涙を一滴 鍵盤に
涙を一滴 あなたの指に
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薄暗い雲の平原
どちらにしたって新宿には止まる
悲のギター
吐き出した黒の残骸はいづこに
失速するならそこで終わり
おくばった所にあるその國は様々だが混じりっ気がない
ただしジャンキーが多い
向こう側を見てみろよ
鬼がとぐろを巻く蛇にヤラれている
幾人も
幾人も
汚れた雨は降り続いて
どぶ川には魚の死体もあがらない
居ないから
虚しくて独り
高音が聞きたい日
良く晴れた雨の日
耳と耳の間を通せ
目を閉じれば雑音も残光も消える
パティ・スミスがトム・ヴァーレインを選んだみたいに
その存在を疑った事は無いよ
君は私の一部になって
私は永久に君を吐き出し続けよう
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異国の唄に癒やされ
異国の唄に泣く
すがり訴えたどり着いた
その暖かい飯を食い
その笑顔にすがるのでした
手放した頃にくる絶望
異国の唄に泣く
黒を纏う事に嫌気を覚え迎えた朝
どこまでも言葉はつきまとう
絶望にも似た静寂と淡い宇宙の想造を
無くなったと思った時に動くには力がいる
異国の唄は静かに止まるのでした
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パンクを自称する女の腕を取り払い宇宙の混沌が見たい
目に見えるものなど無くとも彼は創作に魂を削る
三つある異なる月光の下
氷る湖の中心に二人座るのは少年の目をした大人
かつて彼はこう言った
遺作「さらばピアノよ」
かきむしって狂気
彼女の残した鍵盤を叩き折る
ギンと見開いた目で湖から山までを薄着で駆け上り
不気味な低音の中で息を切らすは狂気の笑顔
アニトラと悪魔の調律師を連れて行こう
山の魔王の宮殿にて
険悪なマズルカを踊りな
めくる楽譜を切り裂く破壊が旋律
叩きながら奏でる
修練と狂気の結晶
エドヴァルド・ペールギュント
2分57秒
暗闇からの閃光
山の魔王の宮殿にて
ドヴレ山の魔王の宮殿にて
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私は魔王
私は無限の猛獣
神を意識する純潔な芸術家達よ
触れればその純潔たちまち黒く染めて見せよう
何故なら私は魔王
私は無限の猛獣
我が神性を駆り立てるのは放出的な闇からの閃光であって
多くの女性達によって産み出される生命的なモノではない
そしてそれは地下のみに向けられている
最深のみに向けられている
この自信はやがて修練と喜びを持って真実となり
大宇宙に点在する未知なる楽譜を線で結ぶだろう
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ロンドンより遙か北の大地
闇夜にオーロラを見た
六角の黒い滝の下
泳ぐ竜のように
遥かヴァイキングの時代から
現代に脈々と生きる
静かなる氷河と火口の下では
その孤高なる音楽が高らかに鳴り続く
銀河より下る幾億無数の星の下
泳ぐサファイア色の竜を眺め
黒い滝の下
君を待っている
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知識ある者は過去を貪る
この目に映るのは複数の未来
知識ある者のプレイヤーへの侮辱
それは過去に遡り
ピアニストには再生音楽家とゆう皮肉な称号が与えられ
カートは死んだ
彼の目に映った未来は永遠に墓の中
こんな屈辱はもう沢山なんだ
触れないでくれ
私にはまだ未来を見る事が出来る
私には複数の未来を感じる事が出来る
自らの意志で絶えるまで私はプレイヤーでありたい