詩人:空白 | [投票][編集] |
見た目は恐らく
普通と変わらない
普通が解らない
僕が言うのも
なんだけど
僕の障害は
傍目からじゃ
解らないから
色々言われる
もっと頑張れ
わがまま言うな
親の躾が悪い
何でできないの
できるはずでしょ
そんなこと
僕が一番知りたいよ
みんなと
同じようにしようと
すればするほど
離れてく
もうどうすれば
いいのか
わからない
最近
知ったんだ
自分が
生まれながらの
障害者だって
なんか
ホッとした
僕のせいでも
親のせいでも
なかったんだって
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死にたいと
言う唇から
お腹空いたが出る
矛盾
生きるって
なんだろう
なんで
活きるのに
必要なのが
命なんだ
生きるって
なんだろう
僕の身体は
着実に
死へ向かって
ひたすら
進んでいるのに
生きるって
なんだろう
生きるって
生きてるって
なんなんだ
他の命を
無くすほど
僕の命は
価値があるって
思えない
死にたいって
言いながら
もうすぐ
今日が終わる
多分
明日も
同じこと
言いながら
お腹空いたって
思うんだ
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少し触れては
離れる肩と肩
教室では
冷やかされた
この距離も
夕立の下では
広すぎて
密かな体温が
僕らを濡らした
貼りつく服と
塗れ髪を
視ないように
見つめては
君と僕の
微妙な距離を
湿った午後が
笑ってた
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一度だけ出した
白紙の答案用紙
どんな問題だったか
忘れたけど
名前の横の
赤い0点が
誇らしかった
×の数だけ
僕の夢から遠のくって
誰が決めたのか
教科書に書いた
落書きの数だけ
夢が広がる
そんな風に
感じたのは
僕だけですか
放課後には
似合わなくて
朝礼前に
飛ばした
紙飛行機は
今、どこを
飛んでいるんだろう
教科書に載ってた
宮沢賢治に
訊いてみたい
僕の目には
映りますか
あの夢の形が
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僕は毎日
遺書を書く
本当は
毎瞬毎瞬
書かなければ
いけないけれど
めんどくさがりな僕は
23時59分の
秒数を数えながら
ありったけの
言葉で
ただ一言を
書き上げる
毎回
違う文面を
心がけ
僕は毎日
遺書を書く
明日、僕が死んだなら
で始まって
海にまいて
で終わるよう
僕は毎日
遺書を書く
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深夜二時
誰も彼も寝静まった
夜の帳
何も聞こえない
というのは嘘で
いつも
無音の音階に
包まれている
静寂に潜む
確かな音は
僕にしか
聞こえないのか
自然と澄んだ
鼓膜に響く
怒りと
悲しみと
寂しさが
煩くなる前に
仕方なく
忙しなく
親指を動かし
深夜三時
どこまでも
深く深く
僕を包む
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蟻を潰した
あの頃と
今の僕は
変わらずに
ただ
期待された
場所に立ち
無理して
笑って
それだけなんだ
蟻がただ
権利を
主張してるだけ
僕がただ
実行に
移さないだけ
ただそれだけで
他には
何も変わっちゃ
いない
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僕らは
何も持たずに
生まれた
僕らは
何も考えずに
生まれた
僕らは
何にも知らず
僕らは
何にも
誤魔化さず
僕らに
何にも嘘はなく
僕らは
何にも争わず
生まれたんだ
その瞬間
僕らは
何も誇らず
何も恥じず
着飾らずに
裸でオギャーと
泣いたはず
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仮面かぶって
みても
僕で
ネコかぶって
みても
僕で
顔変えても
指紋消しても
僕は僕で
逃げに逃げても
押し殺しても
自分は自分で
何から何まで
自分は自分で
どこにいっても
何をしても
何かには
なれなくて
僕は僕で
僕は僕で
僕は僕で
僕は
左利きの僕に
キスをした