詩人:空白 | [投票][編集] |
靴を揃えて
脱ぐのよと
言われて
初めて揃えた
金網の前
遺書と
書いてあるけれど
追伸と
読んでください
最後の言葉に
しては
相応しく
ないかもしれないけど
僕の
本当の気持ちです
みんなは
理由を
探すのでしょう?
理由なんて
ありません
誰かに
イジメられたとか
この年じゃ
ありませんよ
ただ
最初から
最期まで
生きるということが
僕には
わからなかったと
言うべきでしょう。
愛に包まれて
いたけれど
それがなんなのか
わからなかった
僕は
異邦人でした
どこにいても
寂しいを
通り越して
帰りたかった
この五月蝿い
心臓に
嫌気がさして
なぜ僕は
生きているのかに
思考は
直結して
しまうのです。
僕より
遙かに生きたいと
願っている人に
申し訳なくて
ああ何て
僕は役立たずなんだ
この小さな
金網さえ
よじ登る
根性さえないなんて
自殺志願者失格だ
弱虫で臆病で
そんな僕なのに
どうして
みんなは
愛してくれたの?
ありがとうが
言えません。
ごめんなさいとしか
言えません。
もう夕暮れです。
この季節では
まだまだ
靴下では冷たくて
僕はまた
心臓に負けたのです。
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死の響きに
敏感な僕たちは
平気で
生きるために
スーパーまで
死を買いに行く
僕たちの
毎日のために
死体は
綺麗に並べられ
血生臭さを
感じさせず
パッケージの下の
死に化粧で
媚びてみせる
設定された
命の値段に
ありがとうを
無視して
高い、安いと
財布の中身と
にらめっこ
僕らは
君らを
2度3度と
殺すんだ
自分の罪悪感を
誤魔化すために
君らの死体を
切り刻み
煮込んで
茹でて
それが命だったことから
目を逸らして
どこかで
今日も
誰かが誰かを
殺したと
部屋を振るわし
お腹の音と
共鳴する
何が命か
考えた
何が違うか
考えた
答えが出る前に
僕の胃は
満足と
ゲップした
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いろんな人が
地道に蒔いた
その種が
どんな形か
どんな色で
咲くのか
どんな匂いがするか
まだわからない
その種が
何を養分にして
育つのかを
まずは
知らなければ
育てられない
花の名は
平和
養分は
血と涙と硝煙の匂い
そして悲しみ
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日本で僕が
テレビを見て
笑っているとき
北朝鮮の少女は
食べ物もなく
生き抜くのに
必死なとき
アメリカの青年は
いつ死ぬか
わからない
異国の戦場で
今日も銃を
握っているとき
中国の少女は
オリンピックに
向けて
市民マナーを
学んでいるとき
イランの少年は
命懸けの
生活の中で
どこに向かうのか
まっすぐに
見つめているとき
ツバルの少年は
温暖化のせいで
沈みいく祖国を
捨てようとしている
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僕は
戦争反対と
言えない
命の大切さも
悲しみも
辛さも
習ってきたけれど
僕は
戦争反対と
単純に言えない
今すぐに
戦場に行けと
言われても
怖じ気づくけれど
僕は
戦争反対と
素直に言えない
テレビに映る
戦いや
命懸けを
フィクションと
思わないけれど
僕は
戦争反対と
綺麗に言えない
爪痕を
歴史を
伝えていかなければならないと
思っているけれど
僕は
戦争反対と
正しく言えない
僕の生活の
僕の体の
戦争の利益を
戦争の発明を
僕は
捨てられないから
僕は言えない
戦争反対と
簡単に言えない