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空白の部屋


[161] 志願
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靴を揃えて

脱ぐのよと

言われて

初めて揃えた

金網の前

遺書と

書いてあるけれど

追伸と

読んでください

最後の言葉に

しては

相応しく

ないかもしれないけど

僕の

本当の気持ちです

みんなは

理由を

探すのでしょう?

理由なんて

ありません

誰かに

イジメられたとか

この年じゃ

ありませんよ

ただ

最初から

最期まで

生きるということが

僕には

わからなかったと

言うべきでしょう。

愛に包まれて

いたけれど

それがなんなのか

わからなかった

僕は

異邦人でした

どこにいても

寂しいを

通り越して

帰りたかった

この五月蝿い

心臓に

嫌気がさして

なぜ僕は

生きているのかに

思考は

直結して

しまうのです。

僕より

遙かに生きたいと

願っている人に

申し訳なくて

ああ何て

僕は役立たずなんだ

この小さな

金網さえ

よじ登る

根性さえないなんて

自殺志願者失格だ

弱虫で臆病で

そんな僕なのに

どうして

みんなは

愛してくれたの?

ありがとうが

言えません。

ごめんなさいとしか

言えません。

もう夕暮れです。

この季節では

まだまだ

靴下では冷たくて

僕はまた

心臓に負けたのです。

2007/03/22 (Thu)

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