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珊瑚の部屋


[20] 夕立
詩人:珊瑚 [投票][編集]

さっきまで広がってた青い空
いつの間にか消えている

空を見上げれば一面灰色の雲
そしてすぐにどしゃぶりになる
夕立だ

ザ―――

激しい雨
激しい風

雨は道を打ちつけ
風は木々を揺らす

横を通る人々は皆
小走りで去っていく

私は走る気になれなかった
むしろ
その場で立ち止まっていたかった

今、私の心の中も夕立

恋をして楽しかったあの日
晴れた心には
青空が広がっていた

でも今はどしゃぶり、夕立
空なんて見えない―

とても後悔している
なぜあの時
あと一歩が
踏み出せなかったのか
伝えられなかったのか
悔しいよ…

雨じゃない雫が
こぼれ
頬を伝い
落ちる


そんなこと考えているうちに
雨は上がり
雲の隙間から
青空が顔を出した
だんだん明るくなっていき
太陽が見え
出てきた太陽は
あたたかい色をしていた

そういえばもう夕暮れの時間
すっかり忘れてた

オレンジ色の光に包まれる
私の身体は冷え切っていたけれど
心の中はほんの少しだけ
あたたまった気がする
太陽は偉大だね

いつもありがとう
なぐさめてくれて
泣き虫の私を
なぐさめてくれて

私の心の中は
相変わらず夕立

でもいつか
夕暮れ時もくるかな?

夕日は見ていてあたたかくなる
夕日は見ていて切なくなる
夕日は見ていて落ち着ける

心の夕立が過ぎて
夕日が見えたその時
君のことを「思い出」として
心の隅にしまっているだろう

決して忘れることなんて
できないから
「思い出」として

せめてそれくらいならいいよね?

あーあ
早く思い出になっちゃえば
苦しくないのに
どうしてならないんだろう

オモイデニナッチャエバ
クルシクナイノニ……

2006/05/21 (Sun)

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