詩人:ちこ | [投票][得票][編集] |
そこにいたのは一匹の子羊
寂しくて
寂しくて
一人ぼっちで
泣いていた
いつも
いつも
真っ赤に目を染めて
泣いていた
子羊はいやだった
自分の弱さを知られることが
自分の過去を知られることが
本当の自分を知られることが
だからいつも声を殺して泣いていた
だからいつも涙を流さず泣いていた
それはいつ覚えたのかもわからない
とても上手な泣き方
子羊は悲しかった
そんな自分が悲しかった
泣いて
泣いて
どこまでも走った
でも上手な泣き方はいつしか体に染み付いて
こんなに悲しいのに
それすら表せなかった
そんな子羊は心に鍵をかけた
上手く笑えるように
下手に泣けるように
自分に嘘をついた
新しい自分を創った
でも
なんだか寂しかった
本当の自分なんて大嫌いな筈なのに
どうしてか心が痛かった
みんなが見てくれないんじゃない
自分が見せていないのに
どうしてか悲しかった
新しい自分は上手に笑えるの
新しい自分は下手に泣けるの
それなのに
なんでだろう
なんでなんだろう
ただ怖かった
ただ怖かったんだ
こんな自分を知られるのが
でも知ってほしかった
誰かに見つけてほしかった
それは矛盾だらけのきれいな感情
「こんな私でも愛してくれる?」