ある月の砕けた日に散歩していた ぼくは光る石みたいなものを拾ったこの石はきっとつきのかけらだと ぼくはおもいましたぼくはその石をたからものにしましたそして ぼくはその石を夜な夜なみては楽しんでいましたそんな ぼくも年をとりその石の事など すっかり忘れてしまいましたでも その石はいつまでも机のなかでかがやいています月は今日もみえない
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