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♪羽音♪の部屋


[162] 月と風
詩人:♪羽音♪ [投票][編集]


月はいつも蒼白い
温もりを知らないから
だからいつも独りで
星も寄り付かない

凍りついた蒼
それでいていつも
暖かさを求めていた

そんな月にもある日
恋人が出来た
優しく包み込む風

初めの頃は彼の言葉が
くすぐったく感じた
甘くて柔らかい唇
そこから紡ぎ出される
暖かい暖かい温もり

少しずつ月は彼に
安らぎと心地よさを
覚えていった

風は月に優しく触れる
優しく優しく
柔らかく柔らかく.....
それはだんだんと
熱を帯びてきて
二人は深い口づけを交わした
お互いを求め合うように
何度も何度も 愛を確かめ合う

月は初めて
誰かに深く愛される喜びを知った
今までの寂しさを埋めるかのように
彼に我が儘に甘え、すがった
風も優しく受け入れ
彼女を強く抱き締めて 頭を撫でた

彼は月の全てを愛してくれた

風は言う 「僕とのこと後悔していないかい」
月は告げた 「後悔なんかしていないわ」

それからどれくらいの時間
愛し合っていただろうか...

お互い見つめ合い
恥ずかしさにハニカミながら
満たされる幸せを噛み締める

あれからどのくらいの歳月が
過ぎていったのだろうか...

月はまた独りぼっち
彼は彼女に言った

「時が満ちるまで君とは会わない」と

「君が大きな成長を遂げるまで
僕はずっと待つから.....」

月は嘆いた

「君を待つ」と言った
どれだけの人々が
彼女の目の前を
今まで通りすぎていったことか
まるで風のように...

風は月の恋人だった.....
かけがえのない恋人だった...

今でも聞こえる
頭を撫でながら呟く風の声が....

「月(るな)、君は可愛く良い子だね...良い子だよ...」












2017/03/18 (Sat)

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