ホーム > 詩人の部屋 > ♪羽音♪の部屋 > 氷詰め

♪羽音♪の部屋


[6] 氷詰め
詩人:♪羽音♪ [投票][編集]

昔々、独りの少女が
居ました
人を信じられず
氷のように心を
閉ざした一人の女の子
それでいて、人一倍
誰かを愛したがっていました

昔々、独りの少年が
居ました
人を信じられず
氷のように心が凍った一人の男の子

それでいて
人一倍誰かに愛されたがっていました

なぜだか そんな二人が惹かれあったのですマイナスとマイナスのはずなのに…

少女は少年の心に触れて 笑顔を取り戻していきました
そして少女は少年の
本当のさりげない優しさも知りました

でもあるとき
そんな甘い夢が終わりました

甘い夢が悪夢に変わったのです

少年は氷が溶けた少女を お人形さんにしようと 何度も何度も
凍らせました

氷が溶けた少女は
そんな凍ったままの
少年に抗いました

そのうち二つの人形は糸が切れて ぶっ壊れました

まるでシンデレラの
魔法が溶けたかのように 甘い時間はボロボロになった二つの人形のみを残していきました

今、少女は氷の中に…どうしたらいいのか
どうしてほしいのか
分からなくて

少年が溶かしてくれた心の氷だ…
その心を少年に
差し出したらよかったんじゃないか…

少年の望む色に…
少年の望むお人形さんに…私はなれば良かったのか?むしろ、そうなりたかった…

氷の中の少女

今、少年は氷の中に…「もう一度、やり直せる」という希望と「もう無理だ」という絶望の狭間

はじまりは小さな小さな棘だった
君を壊してしまいたい自分色に染め上げたいそしてボクイロに
染め上げられた少女に「これが私」と言わせたかった

そんな独占欲を満たす日を夢見てた

あんなに憎んだのに
あんなに殺したかったのに
今でも君が欲しいよ
抗えない欲求

氷の中の少年

とうぶん2人が欲しがる答えは見つかりそうにない


氷詰めの二人

2015/11/13 (Fri)

前頁] [♪羽音♪の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -