詩人:bin | [投票][編集] |
もう誰も住んでいないあの家の前は
寂しくなるから通らない
子供がいつも持ち歩いている
無垢な入れ物のように
白黒赤青詰まってて
多分
もう何も入らなかったんだろう
突然破裂してしまったかのように
引っ越した
何度も上の住人が変わり
湿気が多くて
全然良い家ではなかったけれど
今考えると
17年間あの小さな空間が
母と姉と俺の距離を守ってくれたんだと思う
最後の日
真っ暗で何もない
その部屋に座り込み
たまらん思いで頭を下げた
住む家が変わっても
生活は変わらない
あの家はいつも通り
周りに背の高い雑草をいっぱい生やし
開き直った様にそこにある
誰も居ないまま残ってるくらいなら
無くなってしまえばいい
寂しくなるから
無くなってしまえばいい