詩人:グランギニョル | [投票][編集] |
アイツが笑った
歯に海苔が付いているのに
前歯をむき出にしてアイツが笑った
時が止まった
アイツが笑って時が止まった
前歯をむき出にして時が止まった
心臓が動いている
心臓が動くには脳も動いていなくてはならないので脳も動いている
脳が動くと勝手に会議が開かれる
辞書がめくられる音がしたかと思うと
飛び交う議論
飛び散る文字
白熱の議論
骨肉の争い
勝ち残った文字達が組み合わさり文になった
文たちは世に生まれたいと俺の喉に急いで降りて飛び出した
「海苔ついてるよ」
時が動いた
と思ったらまた止まった
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ハッタリかませば宙に浮く
飛行遊泳もお手のもの
空気読んでるよどんでる
浮いているのも楽じゃない
白い目投げかけられたって
のらりくらりと交わします
視線集まりゃそれで良い
主役の座は譲れんよ
男手二人で俺を引きずり降ろす
ちょっとは優しくしてくれたっていいんじゃない?
痛いよ痛いよいたたたた
足が痛いよ
腕が痛いよ
心が痛いよ
これが俺流合同コンパ
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どっぷり頭まで浸かるのさ
頭に染み込むこの衝動
ハサミで切り取ってスクラップ
刻んでしまえばスプラッタ
貴女の曲線を丁寧に切り抜いて
頭に焼き付けておきましょう
これでも充分満足です
背中ばかりコレクション
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目まぐるしい時代の移り変わりに足をすくわれ
思い残すことは山ほどあります
真っ赤なノンステップバスが横切って
私の足元に線引き致しました
不安を掻き立てられるのは非常に悔しいことで
唇を噛みしめることしかできませんでした
清く正しく美しく
それが私のモットーで
今はただ美しくあればとの教えはまっとうできずにいるのです
真っ赤なルージュが横切って
私の唇に線引き致しました
不安を掻き立てられるのは非常に悔しいことなのに
今の私は
唇を噛みしめることすらできないのです
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地球儀片手に野望掲げて
世界征服してみるのも悪くない
オープンカーに乗りこんで
ハイウェイ疾走するのも悪くない
助手席と後部座席が寒かったので
金髪美女のマネキン四体御用達
みんなが釘付けになるのも無理はない
ゴッドファーザーになりたくて
神父になるのも悪くない
聖書の代わりに銃を持ち
聖水の代わり葉巻をくわえ
神に仕えてシスター食って
天罰が下るのも無理はない
全ては平凡で気弱な僕の悪趣味な妄想
だか実行してみるのも悪くない
友達いないのも無理はない
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宇宙人と交信
だなんて
NASAもやるじゃん
でも結局それって
秘密にするんでしょ
隠し事なんかしないで
こっち向いてよ
どうせなら私にも教えてよ
私には何もかも話して
隠し事はもううんざり
たとえ地球が滅ぶようなことになってもいいから
私に真実を頂戴
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真っ赤になった私の目を見て
あなたはぶっきらぼうにこう言った
「ウサギみたい」
気付くの遅すぎ
きっと私は死んでしまうから
どうか寂しい思いはさせないで
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耳鳴りベル鳴り
血にまみれて
偽の夜空が回転
反逆者が手を叩き
嘘の天地が反転
毒にまみれて
笑い転げ
無愛想な子供たちの
瞳が釘付け
可哀想な大人たちの
額に口付け
耳鳴り消えれば
優しい天使が
老人を連れ去り
憐れみの悪魔が
子供に化ける
楯突く者は皆殺し
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完璧な化粧が
自信満々に
勝ち誇っていた
優越感に浸っている人特有のあの目
あの唇あの手あの足あの髪あの耳あの顎あの姿勢
明日になればそれらのものが全て意味を成さなくなるのに
明日なればそれらのもの全てが俺のものになるのも知らずに
考えただけで鳥肌が立つね
そのマスカラ落とさせて貰いますから
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死んだ魚を海に戻す
海面を不気味に漂う
鉛色が鈍く光って
息苦しさを覚える
充血して濁った目がこっちを黙って見ていた
不快感が背中にのし掛かる
この行為を30回ばかり繰り返し
海面に30匹の魚の死体が浮いていた
全員が死んだ視線を投げかけてくる
仕方が無いので下を向いた
すると全員がひそひそと話始めた
ウルサいので耳を塞いだ
強烈な疎外感
例えそれが死んだ魚相手でも
黙らせるために殺してやった
静かに一匹ずつ頭の中で
自分の足元で大量の魚の死体が重なり合っていた
異臭に耐えきれず
死んだ魚を海に戻す