詩人:地獄椅子 | [投票][編集] |
おい いつまで
そんな自慰を
続けるんだ
辛い?
苦しい?
切ない?
だから何?
垂れ流しの感情を
見せびらかされて
こっちは迷惑してんだ
そんなもの
人様の前に晒すなら
自分で処理したらどうだ
詩が
詩が汚れちまう
詩に
詩にもっと愛情を
脈々と流れる詩の川
それを腐乱させて
君たちは
ドブ川にしようと
しているのかい
発表したからには
必ず誰かが読むんだ
大量生産大量消費
そんな扱い
コンドームなら
良しとしよう
誰が詩を守るんだ
俺はこの詩で問う
詩は鏡
自分そのもの
低俗な詩や
思慮を欠いた詩
詩には何も
罪はない
悪いのは
善良な仮面を被った
甘ったれや道徳家
ここはどこ?
ここはどこ?
詩人の部屋
詩人の部屋
どこに詩人がいるの?
どこに詩人がいるの?
いいえ どこにも
いいえ どこにも
みんな見てるか
最後の牙城
守るべき砦が
今 音をたてず
崩壊しようとしている
悲しいですか?
嬉しそうだぞ
そもそもそんなこと
気にしちゃいねぇ
これは書き手のみの
問題なんかじゃない
書き手と読み手
両者が考えるべき
問題だ
我が祈り
荒れ果てたこの地にて
聖なる川が
侵されてしまう現状
戦わずして嘆く者に
杞憂を感ず
百年後…否
十年後に於いて
詩は
詩はまだ
生きているのか
俺が殺させやしない
俺は詩を愛してる
嘘のない想いを
ここに記そう
消えないように
消さないように
頼む
俺は詩が読みたい
ただそれだけなんだ
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大して面白くない人生だ
俺は太陽を見上げた
おい お前も孤独なんだろ
なのにそんなに
なぜ輝けるんだ
恐ろしくつまらない毎日だ
明日だって何も変わらない
いいことなんて
ないに決まってる
おい太陽
俺にお前は
眩しすぎる
少しだけ
楽しい話をしよう
優しい話をしよう
お前が沈む前
地平線に向けて
伸ばした手
オレンジの街並
伸びる影
手を繋ぐカップル
調子良い呼び込み
くたびれた会社員
それぞれの人生
どこまで続くかな
新しいページ
無性に泣きたくなって
道のど真ん中
うつむいて歩いた
この群衆の行列に
最後尾なんてなく
途切れずに
俺はその他大勢の中
ほんの一人にすぎない
少しだけ
楽しい歌を唄おう
優しい歌を唄おう
暗くなった街並で
ぼんやりした街灯の下
失くしてきたものを
思い出せなくなった
悲しみを包むように
家に帰れば
汗だくの体を
シャワーで洗い流し
着替えたら
テレビの前に
すがり付く
次々と
チャンネルを
切り替えて
あっちではばか騒ぎ
こっちでは悲しい報道
どうなってんだ
この世界の混沌や矛盾
俺たちは恵まれていて
幸せかい?
答えて下さい
答えて下さい
何にも
話すことがなくなって
何にも
唄う歌がなくなったら
どうしたらいいんだい
俺、一人
孤独の太陽
見えないけれど
きっと輝いてる
楽しいこと
優しいこと
探す前に
ないって
嘆くんじゃない
Lost Black
どこなんだ
黒が
見当たらない
ああ
急にあなたのこと
抱きしめたくなってきた
きっと病気なんだ
今夜
少しだけ
あなたの夢が見れたなら
この人生
ちったぁ愛せそうさ
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黒を愛した貴女への詩
私の創造った
永遠の詩
貴女に捧げます
どうか
聴いていて下さい
貴女の目も
貴女の耳も
既に不自由で
貴女の意識も
貴女の思考も
もはや不明瞭で
それでも私は
たった一人
貴女へと
まっすぐな想いを
乗せて書きました
稚拙な言葉達
不器用な文面
二人で泣いた日と
二人で笑った日を
平凡だったと
済ませてた
もう泣けない貴女
もう笑えない貴女
表情一つ変えぬ
美しい貴女よ
もうすぐで
春ですよ
私のギターに合わせて
貴女は伸びやかに
歌ったあの春の日
あれから幾つも
季節は過ぎ
貴女は今
生きているのか
死んでいるのか
楽しんでいるのか
悲しんでいるのか
ずっと寄り添っていた
私ですらはっきり
解りませぬ
でも私には
生きてるように
楽しんでいるように
思えてならないのです
ずっと隣にいていいですか?
横たえるベッドの傍
貴女の呼吸の
聞こえる位置
「愛してる」
文字数にして
たったの四文字の詩を
いつも聴かせてあげたい
生きている貴女へ
楽しんでいる貴女へ
植物人間の貴女へ
脳の機能は不全でも
心の活動は不変です
ああ そう言えば
貴女の好きな
長崎のカステラ
貴女が愛読していた
メルヘン小説
今日買って来たんだ
もうすぐ春ですよ
今日の調子は
如何でしょう
貴女が
笑った気がした
私は貴女と生きている
私は貴女と生きていく
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散りぬ
いと儚き夢なりや
今際の命を
生きんとし
消え逝く炎の
淋しいこと
悲しいこと
華の永劫は
空虚な涙
凅れた喉
皺枯れ声
詠う者は
皆独り
際限無き愛を
憎悪や欲望を
神亡き世界で
瞳の水鏡に
映しては
慟哭とも
発狂とも
呼びかねない
叫びは壊れる
悪魔が囁く
情念や怨恨
黒く揺れる
華の灯よ
散りぬ刻は
やがて巡る
名付ける親の居ない
小さき夢の如く
いつのまにか、黒は
その声のする方へ
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人類
それは
愚かしく
憐れで
救いようもない
生き物
イエス
生まれてきて
良かったね
僕はもう
眠りたい
疲れてはいない
悲観してもいない
ただただ
そんな気分なんだ
ねえ
いいだろう?
黒く
深い深い
涅槃の底で
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愛でもない
夢でもない
希望でもない
絶望でもない
過去でもない
未来でもない
永遠でもない
瞬間でもない
時間でもない
空間でもない
全体でもない
一部でもない
自己でもない
他者でもない
氷でもない
炎でもない
生でもない
死でもない
性質も状態も
表現を超越している
それは詩であり
それは歌であり
一面の白を
鮮やかに塗り潰す
ただの黒
そう ただの黒
黒
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誰も見知らぬ顔
ここの水に合わない
上手く泳げない
楽しく自由に
僕はここで
泳げない
浮き輪を下さい
どこかに
優しい人がいるのなら
底へと沈む僕へ
少しだけ手を
差し伸べて下さりませんか
僕はここに馴染めない
そんなに器用じゃないんだ
この違和感を
どうしたら
押し殺せるというのだ
Black black black
この虚しさは何だろう
君達は何も
感じないのかい
ネット特有の
自我の押し付け合い
本当にここが快適かい
楽しいかい
幸せかい
ならいいんだが
どうしても分からない
人との接し方
上手に諭して下さい
無知で強情な僕を
取り残された者の嘆き
ここにいていいですか
誰か笑ってくれますか
仲間にしてくれますか
僕はここで泳げない
虚しくて苦しくて
どうしてなのか
思うように
笑えない
Black black black
一人にはなりたくない
好きでもないが
嫌いでもない
ここしかないんだ
浮き輪を下さい
浅瀬でもがく僕に
優しい人よ
そんな人がいるのなら
そんな人がいるのなら
Black black black
Black black black
Black black black
嘘じゃない
正真正銘の本音だ
僕はここでは泳げない
泡となって消えるだけ
ハロー
やさしい人よ
僕に浮き輪を投げて下さい
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飴玉いっこ落ちてきた。
なにやらうまそな飴の玉。
そしたらもひとつ落ちてきた。
うっかり見とれていたならば 次から次へと降ってきた。
赤青黄色とカラフルに。
緑に白に紫に 桃色なんかも混ざり合い とにかく鮮やか素敵でしょう。
きらりきらきら輝いて。
ころりころころまんまるく。
かごにいっぱい詰めたんだ。
空から降る降る飴玉よ。
君も一緒に食べようよ。
よく見りゃ空には天使が飛ぶよ。
きれいな飴玉その正体。
天使の流す涙です。
天使は人を癒すけど 人は天使を癒せない。
優しい笑顔 ばかりじゃない。
天使も時には悲しいさ。
やがて黒い飴玉が 僕らの方に降ってきて 人間様が消えたとさ。
おしまい。
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おいでよ。
こっちにおいで。
よしよし、おまえはいいこだ。
ほら、えさだぞ。
どうした。
なんでたべないんた。
だいじょうぶ。
どくなんてまざってないから。
おれをしんじろよ。
しゅじんのめいれいだ。
ぜったいふくじゅうだろ。
うまいんだぞ、これ。
そうだ、いいぞ。
たくさんくえ。
おおきくなれよ。
そしてやつらにかみつけ。
おまえはいいこだ。
かわいいこだ。
こんなになついて。
いうこともよくきいて。あのひとがたべのこしたうそ。
なげきたいこともないなげき。
なあ、おまえのこうぶつ。
もうまっしぐらだよな。
おいでよ。
こっちにおいで。
おいなくなよ。
そうだ、あのつきにほえろ。
まよなかにあばれろ。
おまえにはおれがいる。
ひとりじゃないからな。
おまえのためにとくべつ、ぴあのをひいてやる。
おとなしくきくんだぞ。
やさしいねいろが、ほら、おまえにもきこえるだろう。
せつないいのりが、ああ、おまえをいやすだろう。
しずけさにとけて、おんがくのうちゅうはひろがって、みりょうするだろう。
すべてのいのちのはかなさに。
うつくしいせんりつをかなでて、ゆったりとしっとりと、おまえをじゆうにするだろう。
ほら、みてごらん。
さっきまでのかなしみが、ふしぎとやすらぎにみちてゆく。
せかいはひろいんだ。
どんなにこうやをかけても、だいちはつづくんだ。
どきどきするだろう。
わくわくするだろう。
だが、いまのおまえは、あまりにちいさくてよわい。
まだそのときにははやいんだ。
おいでよ。
こっちにおいで。
よしよし、きょうからおれが、おまえをかってやる。
いいな、くろ。
ずっといっしょだ。
ずっと…。
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壊れゆく星の片隅。
くたびれてきたTシャツをそこいらに投げ。
徒然なる悲しみのイコン。
腐敗した永久幻滅機関。
呪われし抱擁は愛を枯渇化。
みんな死んだ。
どう思う?
服に染み付く汗の匂い。
新陳代謝は罪と許しを循環させる。
荒漠した光景に萎んだ風船は地に墜つ。
最後など呆気ないものさ。
思惟としての存在。
人類代表して無人の廃墟を徘徊する。
栄華を勝ち誇った摩天楼。
虚となった高層ビル郡。
電気ガス水道は軒並み停止。
車も電車も船も飛行機も見当たらない。
不思議と死体すら転がっていない。
真に独り。
清々するかと思ってた。
嫌いな人間も居なくなると淋しいものだな。
何の張り合いも無くしてしまった。
複雑で高度化した文明は人間を生存競争から脱落させた。
弱い皮膚。脆い神経。
武器は発達した知能のみ。
だが肝心な食糧がない。
空腹が雑草を頬張らせる。
超異常気象時代。
もはや季節はない。
猛暑と酷寒の日が交互に訪れ、身体機能は誤作動し放題。
昨日の汗だくの衣類は凍結しフェイクファーのコートを羽織る。
あちこちに核の爪痕を残し、そんな人の過ちが無情なる世界の哀れみを、こんな私を惨めにする。
あいつらと同種族だったことを恥じ入る。
平和など一度として在ったか?
自然災害だったのか。人災だったのか。
必然だったのか。偶然だったのか。
そんな最期を身の破滅だと考えた。
一千億の惑星の中のたった一つの小さな青いオアシス。
きっと何事も無かったかのように、宇宙は続く。さも永遠顔して。
子供の頃。
憶えてるかい?
野山を駆けずり回り、泥に塗れ日が暮れるまで遊び惚けて。
こんな日が来ること想像すら出来なかった。
思えば優しき人が周りにいたからこそ、私はやって来れた。
愛という玩具を弄んで、傷付けたり裏切ったり。
我侭で自分勝手で傲慢なまでに寂しがり屋で。
こんなに愚かで素晴らしき種はいない。
主よ。
今日という日も空は青い。
そうして私は呼吸する。
お迎えの時が来るのを待つように。
みんな死んだ。
私は独り。
黒に帰還する。
塵の悩ましさ。
もう動けない。
目を閉じていいか?
なあ友よ。地球さんよ。