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地獄椅子の部屋


[11] 黒い正気を保て
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自殺の神様が俺にほのめかす。「お前なんかが生きててもしょうがねぇよ。さっさと消えちまいな。」


うわぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁあああぁ!
叫んでも叫んでも、苦しみしか覚えない。

悪意が俺を壊すんだ。偽善のハンマーを振り下ろされて正気が儚く散る。

浮ついた足取りで何処を彷徨えばいい。


うわぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁあああぁ!

うわぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁあああぁ!


俺は金が欲しい。
俺に金をくれ。
いいから早く。
幻覚も妄想も、もう俺はいらないから。

助かる望みのない現つ、青い鳥を殺しちまった。ちゃんと餌を遣ったのに。ちゃんと世話してやったのに。あんなに笑ってやったのに。
帰って来いよ。俺の青い鳥。

俺をせせら笑う奴らよ。お前等の背中にも自殺の神様が見えるぜ。気付かずに阿呆面してやがれ。

俺の心はキマイラ。半人半鬼、イル・スパイダー。人の心が欲しいだけ。人肌に唯触れたいだけ。

何枚毛布を被っても、痩せっぽっちの貴女を抱いてみても、寒い夜は寒いから、まさぐる手は震えるばかりだ。


うわぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁあああぁ!

うわぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁあああぁ!


イキるぜ。
(お前なんかが)

イキるぜ。
(生きてても)

イキるぜ。
(しょうがねぇよ。)

イキるぜ。
(さっさと)

イキるぜ。
(消えちまいな。)


自殺の神様に復讐する手段は一つしかねぇ。

人の心を失えど、青い鳥を殺しても、寒い夜に凍えても、金なんかなくても、土の上に毅然と俺は立つ。
迷惑だろうが、まだ居座るぜ。


うわぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁあああぁ!


どす黒い正気を保て。
ぬわっ!


刻には凶器を振り回しながら、時には狂気に振り回されながら。
ぐはっ!

2005/12/24 (Sat)

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