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乙の部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] 嫌悪感
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全く以て、憎々しいのは、彼の様な下賤の輩にも、
わたしと同じ、赤い血が流れている、という事だ。

なんとも馬鹿らしい。
無能で下等な生物である癖に、図々しくも、
"終わり無き人生"なんぞを求める──

そんな輩が、此の世界にはびこって居る事実が、不快なのだ。
わたしが信じる唯一つの死生感、
其れに反するものである、彼らの其の思考が、
こんなにも、わたしを不愉快にさせるのだ。

どんなに不平等な世界で有ろうとも、
回り来るのは、生と死よ。
終わり無きものなど、此の人の世に、有ると云うのか?



……人間は、愚かしい。

嗚呼、終わりが巡って再び来る始まりに拍手を!

2004/04/19 (Mon)

[2] 彼の眼
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彼の眼を手に入れたなら、きっと、
僕の世界はもっと素敵!


貴方が、余りにも綺麗な笑顔で笑うので、
僕は、此の世界の鈍色に嫌気がしたので、
二人手を取り、逃げました。遠く、遠くと逃げました。

空色変化、露草の紅、輝きに魅せられては、
水芭蕉を渡って次の場所へ。

素敵!
こんなにも綺麗な世界が、僕の近くにも在ったなんて。
僕の知らない七色、君が教えてくれた輝き。
其の綺麗な笑顔。


其れだ、僕には持ち得ない、一番の素敵は、其れだ!



ねぇ。君の眼、僕に貸してはくれないか?

そうすれば、ねぇ、
きっと、僕の世界はもっと素敵!

2004/04/19 (Mon)

[3] 欲望という名
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馬鹿らしい迄に依存して、
結局、最後に残った結末は此れだ。

嗚呼、情けない!

其の仏頂面、彼の人に見せたことなんて無いだろう?
有るのは、今見れば醜いだけの、特別な笑顔!
鏡を見ろよ、醜いのは不幸のせいだなんて、
思っちゃあいけない。思い知れ!


微かに刺激する含みのあるキスに酔って
(少なくとも酔ったフリをして)、
抱き合うのは駆け引き
(少なくともアンタはスリルがあると思ってた)
のお決まりですか。

駄目ね。そんなのじゃあ、わたしは満足出来ない!


さあ早く、其の仏頂面を書き直せ!
わたしを弔って呉れ、永遠の主人よ!

2004/04/19 (Mon)

[4] 体感
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骨の髄から悪寒が染み出して、君の体を蝕んでいるんだろう。
肺から吹く冷たい風に、喉がヒュウヒュウと悲鳴をあげている。

なぁ、辛いだろう。
そろそろ休みたくはないかい?


窓の外が春になるのを待ち、
寒さなど文献で知れば良いじゃないか。

ねぇ、何故そんなにも現実にしがみ付こうとするの。

2004/04/20 (Tue)

[5] ハーメルンの笛
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風の音が反響して、禍々しく唸っている。
トキハキタ、トキハキタ、──村人を呼んでいる。

谷底を吹き抜けた風がハーメルンの笛か。



凍えるばかりならば風の根元へ行こうじゃないか と
子供たちは消えてゆくんだろう。

大人たちは凍ってゆくだけで

2004/04/20 (Tue)

[6] 期待した悲劇
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冷たい風が吹く度に、月は冴えて輝きを増すのだろうか。
君のために?
愚かしいことの極みが君の想像の上に有るから、
それでは太陽の無い明日が来るに違い無い。

(いいえ、いいえ、悲劇など望んでは居ませんが、しかし私は)

──それでも哀れだと言うのだね、自分が。



歪まぬ道は、冷えた冬の空気を真っ直ぐと抜け、
月へと向かって伸びている。

玉兎と金鳥が出逢うまでもう幾日も無いのだとしても、
君があの空を見ないと言うならばね、きっと君には、
端から救いも奇跡も要らなかった。

2004/04/20 (Tue)

[7] 喜劇のような
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愛のやうに育んでいたのです、
偽り、の優しさ
偽り、の哀しみ

私たちとても果敢無い夢のやうで
何も彼も消えてゆくばかりのやうで



美しいのです、
破滅的だと云うことは

2004/04/20 (Tue)

[8] 言葉売り
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夢を描いていた筈なのにね、
君が描く絵はどこか、シビアな造り物に為り初めていた。

誰かにかける優しい言葉の定義と、
夢を目指す美しさを語った戯言がさ、
まるで商業主義の安売り笑顔のようにそこに並ぶんだ。

今なら安くしときますよ、えぇ、えぇ。



本当はさ、描きたいのは自分の夢だっただろう。

他人の望むような言葉なんて、
そろそろ分からなくなってきた。

2004/04/20 (Tue)

[9] 彼らの焦燥
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まるで世の中の全てが敵みたいな顔をして、
どうしたって言うんだビリーヴ。

「明日が無いよ」

──けれど明日になるよ、
まだ太陽に目が眩んでるのかドリーム。

2004/04/20 (Tue)

[10] とりあえず
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志しがあったわけではないが、僕はまるで再起不能になった。
何故だか起き上がれない。──ウン、ウン、唸っている。


さて、数時間


特段強い想いがあるわけではないが、戸棚にある筈の茶菓子が食べたくなってきた。
起きる事が出来ないのは大変不便だ。──うん、うん、僕は悩む事をし始める。


そう、そうだ、

志しが無くとも
夢など無くとも

立ってさえ居れば とりあえず何処かに向かえる。



──まずは茶菓子、そしてお茶だな。うん。

2004/04/20 (Tue)
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