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鳴りやまないベルが煩わしいから、受話器をあげた。
会話したかったわけじゃあない。
……万全な人間関係を築くには、交流が不可欠だと、そう思っているので。
厄介なことを明日に持ち込む行為は不必要だ。
困ったときに相談する相手は決まっていて、
誰それの陰口は誰それへ、
そうやって誰からも反感を買わずに生きてゆくシステム。
……万全など有り得ないと知っていても、
電話線のように、たった一本の繋がりだからこそ、断ち切ってしまうことが怖いわけだな。
喧しいベルがまた鳴りだす。
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誰とも違う自分でありたいんだよ、と言いながら、
流行りの緑で飾っている。
シルバーよりゴールドが良いのよ、知らないの?
──それが主流。
誰よりも緑が似合ってるでしょう
誰よりも美しく着こなしているし
誰よりも際立っているから誰とも違う
明日、赤いコートを買いに行くのよ。
知らないの? それが素敵なの。
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否が応でもそうなるしかないんだ、
と言いながら、
是が非でもそこで転ぼうとする。
ちょっと、あすこに置いておきますからね、頼まれた品。
アレですよアレ、
貴方の悲劇を巧い具合に演出する舞台装置!
でも、ね、
貴方ちょっと女々しすぎやしませんか、
自分を可哀相にすることばかり得意になって?
どうもこう無いよ、
と怒りながら、
うんとかすんさえ意思の表明を知らないじゃないの。
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停止線で止まれない
カーブで曲がれない
スタートダッシュはヤメロと言われた
コントロールする術は覚えなかったくせに
些細な機微には反応してる
ハンドルを切ってコースアウト!
僕にお似合いの道で仕方無い
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夢に両脚が生えてさ、すたこらさっさと逃げていったんだ。
「叶わない夢を見ていても無駄ダヨーだ」
、──と言ったかどうかは知らないが、走り去ってゆく夢の背中を見て、御主人様たちは大人しく座ってた。
誰も彼も、間抜けな面しやがって!
どれもこれも、飾られ方ばかり気にしやがって!
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志しがあったわけではないが、僕はまるで再起不能になった。
何故だか起き上がれない。──ウン、ウン、唸っている。
さて、数時間
特段強い想いがあるわけではないが、戸棚にある筈の茶菓子が食べたくなってきた。
起きる事が出来ないのは大変不便だ。──うん、うん、僕は悩む事をし始める。
そう、そうだ、
志しが無くとも
夢など無くとも
立ってさえ居れば とりあえず何処かに向かえる。
──まずは茶菓子、そしてお茶だな。うん。
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まるで世の中の全てが敵みたいな顔をして、
どうしたって言うんだビリーヴ。
「明日が無いよ」
──けれど明日になるよ、
まだ太陽に目が眩んでるのかドリーム。