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乙の部屋


[6] 期待した悲劇
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冷たい風が吹く度に、月は冴えて輝きを増すのだろうか。
君のために?
愚かしいことの極みが君の想像の上に有るから、
それでは太陽の無い明日が来るに違い無い。

(いいえ、いいえ、悲劇など望んでは居ませんが、しかし私は)

──それでも哀れだと言うのだね、自分が。



歪まぬ道は、冷えた冬の空気を真っ直ぐと抜け、
月へと向かって伸びている。

玉兎と金鳥が出逢うまでもう幾日も無いのだとしても、
君があの空を見ないと言うならばね、きっと君には、
端から救いも奇跡も要らなかった。

2004/04/20 (Tue)

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