こんなに言葉が止まらない夜に誰もいない部屋には私がいて時計の針はものすごいスピードでゆっくりと巡る。人が、死ぬために生まれ、別れるために出会う生き物なら私は、出会った瞬間に殺されたようなものだと思う他人の多くが知る存在を私は少しばかり厭い、憎み、好奇心に求め、憧れ、蔑み、そして知らない。あなたが死んでも私は知らない。私が死んでも、あなたは知らない。声が掠れて、呼吸は困難。
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