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透き通った時分は潰え、海は飛躍し、そこに栄養を供給する空の細やかな流砂
風は幾分冬眠し、夏草達は残りの青春を謳歌していた。
人は皆叩く扉が猛獣の雄叫びと重ね、それぞれが背を向けあい、鐘の合図と共に鉄橋を駆け抜けていく。
私は一人、燃え尽きた煤へと寝そべり、静かに彼の匂いをかいでいた。
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国境と国境を堺にした処
高校時代。秋葉原にハマってしまっていた過去の自分は、そこに空想の池に洗練された鏡のように清楚な女が映し出されていた。
月が紅いというのにも、そこにいるだけで空気が入ってくる気がしていた。
我が憎き故郷と大気汚染がその町の象徴とを結ぶとある大きな橋を見る度に、僕の興奮はいよいよ高ぶらずにはいられなかった。
今、第二の故郷というべき処。
私はこの景色が二度と両親から奪われることの決して無いように、そして人々から刈られないために、私の景色は一節に、いつまでも私の胸へしまっておくとしよう。
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愛。恋。この見分けは、コーヒー豆の違い、草花の違いを照らし合わせることよりも困難であり、また物理的に結論を下すことができないかは、誰もが知っていることであろう。
少年法を廃止するか否かの討論が繰り返されていたとある番組。国民に対しては賛成派が大多数であった。その中でも今の子供はという意見も根強いまでの主張となってしまったが、犯罪をグラフ化してしまえば、実際は減少の糸を辿っているらしい。しかし、私はそれよりも親ということを考えていかなければならない気が沸かずにはいられなくなっていた。
そもそも愛というよりも、性欲に近くはないか。いつかの偉人も種の保存を訴えていた。私はこれに多いに賛成であり、これ以上の深き罪はないと感じずにはいられないのだが、皆さんはどうであろう。
そして、このルールから疎外されるもの達は、愛を軽んじるものの代わりに罰を受けているのではなかろうか。
私は愛を敢えて軽んじていることにしている。私自身、愛を知ることのない罪人であり、愛を一種の病や自然災害と判断しているからだ。
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お前の眼をえぐってみせよう
世界は銀河に比べ狭いはずが、私はその球を理解するにも到らない
お前の眼もまた同じことで、世界には透明の膜が敷いてある。
お前の眼はいわば、そこいらに飛んでいる蝿に過ぎず、世界のメやらはお前を一捻りで踏み潰してしまおう
今日眼をえぐってみせよう。俺の苦痛はお前一人が担い、こうして真理の一滴はお前の喉へと流れていけるのだ。
俺はそれを見、お前が死にゆく日。
俺の眼は果たしてどこまで生きながえられようか。
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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜生け垣で包囲網をつくる
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜色を解放できない。ここは無色透明ではない物質を用いた檻
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜力なき、か細き声が部屋をハウリングさせ、それは糸をつたうような華奢な体をしたあの娘であった
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜否定しようにも何に首を横にふるべきか
その答えはどこを探そうと見られず、もしかしたらどこか置き忘れたかわからない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜寒い、今日は陽射しがかんかされるはずが、玄関のドアを閉めずにはいられなかった。
両方の靴には軽い微熱をもっていた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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教えてくれないか。俺にほんの些細なことでいい。
ほら、俺の全財産まで、はたいてくれてやっても構わないんだ。
なぁ、教えてくれないか。答えなど何も正確ではなくて勿論良いのだ。
お〜い、花火は東の山から降ってくるぞ〜
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少し思い出を想い、自分はこれまで犠牲にしたものだらけであり、そして人もそうではなかったろうかと頭をよぎっていた。
それでもこれまで人と関わってきたのも、改めて少なすぎると感じずにはいられない。そんなこんなんで、俺は詩のためであったのなら、利用しない手は無いと思わずにはいられなかった。
自然を身に付けているはずも、半強引にそれに抗がって生きていなくもないように感じられる
目は半開きに口も半開き
詩を俺はどこか好きなのかもしれない。
それは優しく包みこんでくれる聖なる母のような気がし、ヘタレな俺に一時の憩いの場をあたえてくれたような気もしなくないのだ。
だが、俺にとって詩は倦怠なる身に、モルヒネをさらに注入しているに過ぎないのかもしれない。
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俺はいわゆる口下手というやつで、ホスト的饒舌人間を意味嫌う。
俺は名ばかりを評価する。君らもそうであろう。
酔いどれ親父が人生論を語るより、ゲーテがそれを紙に万年筆を用いて書いた方が威圧の度合いが嫌に変わったものとなろう。
発想?君らの方が余程石橋を叩いて渡っている。
忠告しておくが、俺は根性とは無縁の惰性男である。俺という名詞もある意味では二の腕の太いのを表そうものであるけれど、しかし言葉を使う限り偽って接していると言っても決して何の差異もなかろう。
俺は知っている。毎日、毎晩毎夜、喉を刺し絞めるものを飲まされ続けていることを。
わかったことはこのくらいであろう
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水を掌ですくい人の肌色とつたう
木枯らしは頬が真っ赤に染まった緑血を透明なる結膜をもって吹いている
雀がパサリと無益なガラスを散らばませ、朝とおっしゃる力なき折れゆく矢をガラス玉同士ぶつかりあわせている。
天候は次第に迂回し始め、くだけ散った破片が地面で分散しだす。
人は当たるまいとし、生けとし無機物と擦り合わされ、濁らせた芽が憎しみを萌芽させていく。
それが人にナマズのようにはいいり、荒涼とした頭に嵐の切り傷を深くする。
融和されゆく咎を人
担いと負わさる鞭を人
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そぅっと、優しい手で金魚掬いをするような君の頬に指でまるを描いた。
白く紅みを膨らませた君の掌を取り、華奢な閃光が明滅しつづけていた。
此処は土手。黄色い布がはげかかったような太い腕を持った神が、傾斜に位置する芝生らを多種多彩の種を用いて蒔いていた。
夕暮れ時に君と時計台下で待ち合わせ、君を破れない殻の中へと案内した。
僕は今たった一人の人の肌を擦りあわし、繊細な淡い髪のような垢が滴り落ちる。君の膝元にドブ川の水に濡れた猫が座ったとして、僕ら二人、無色の泡に包み込まれていた