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某の部屋


[1] 弧月の旋律
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 ああ
君の影にすら逢えぬ嘆き
 指折り数えた月夜の数
張り詰めた弓形はしなやかに
 この深い夜霧の晩に
私は君の夢を抱くのだよ
 枯れ草のように萎れていくばかりの
喉の渇きとは逆さまに
 君への想いは募り
実りきった酸漿のように弾け
 ほら 百葉の静寂(しじま)の中
芯からの呻きが生じるのだ
心臓の脈拍は旋律を為し
心の寸劇に命の躍動を吹き込むのだ
この若輩者は君なくしては
心模様は弧月であり
望月のような心持ちには到底
成り得ない事を知っておいてくれ給え

2006/01/31 (Tue)

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