詩人:ユズル | [投票][編集] |
青い空の下に出たら
夏の匂いがした
秘密を抱いた
風が吹きぬけた
君があの日
いなくなってしまったのは
消えるしかなかったのは
たいそうな理由なんかなくて
さみしかった
ただ それだけ
青い空の下に出たら
夏の匂いがした
秘密を抱いた
風が吹きぬけた
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夕暮れ 自転車 じわじわ迫る夜
想像だけのパレットで 彩る
雨みたいに 降ってた
しずくを 逃してた
「あきらめない」って
悲しみだけで 歩くのも
いいかな なんてね
僕がかろうじて 奥底から
ひっこぬいた 勇気は
ちゃちな ピンクのリボンで
パッケージされてしまった
茜色は 真っ暗に 侵されて
うすい影は 紛れて
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夢とかそんなものより
えげつけない世界だ
ぐっちゃぐちゃになった
黒い文字が降りそそぐ
君を守ってあげたいけれど
どうしたって届かない
でもね少し嬉しいんだよ
こんなもの味わって
もう戻れないかもしれない
もとより戻る場所なんてない
ああ 絶望は安心だ
とてもしあわせだよ
君の涙も
散らばったことばも
とまった時間も
絶望的だね
しあわせだね
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光のカーテンで 見えない世界
魔法のレンズを覗いても
意味のない時間は ゆめの花も咲かせない
だから ちぎり捨てていくわ
鏡の中 揺らぐ景色 小さな声も
塗り替えたら ときめきたちが輝くの
きっと 知らなくていい
私だけにわかる合図で
走り出したら 星をつかまえるよ
何もしないでただそこで待っていてほしい
信じたままの 青い力を受け止めていて
今 遠いだけだった物語
この手で奪っていくわ
だから そこで待っていてほしい
信じたままの 初めての光を受け止めていて
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騒々しい音が去った
人の多い電車のホーム
じりじり焦がす夕陽が
朱くて 朱くて
顔を照らして
みんな みんな
想いを馳せてる
そんなセンチメンタルな
一瞬だけのつながり
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のうみそ からっぽみたいな顔して
深い海の底まで 小さな泡まで
実はぜんぶを 考えているようで
やっぱり からっぽみたいで
あーあ 疲れるから
頑張りたくない
あーあ 疲れるから
口も閉ざしたい
だって つらくてめんどうなこと
いろいろ乗り越えてまで
やりたいことなんて ない
モチベーションが わかない
なんて横文字で かっこつけたって
ださいだけの 甘えと知る甘え
ビルの森に 飲み込まれそうで
ぐずついた 天気が似合う
からっぽで 考え込む
真夏に 雪が降ればいいのに
そんなかたちの救いばかり
求めながら からっぽで
考え込む 祈る また
からっぽで
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狂気的な終わりへ
挑発するような精一杯の笑みで
夜にまぎれ誘おうとするけど
負けることはわかってる
ぬくもりに勝てない
見透かされて繰り返して
腐ったトマトみたいだね
せつなくて胸が張り裂けそう
そんな甘さを君はどうしてくれる?
抱き込まなくていいよ
かぷりと食べてくれたらいいな
ただ君の胃袋におちていきたい
泣いてなんかいないから
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誰の視線もない夜
優しいカーテンが 隠してくれているから
暗い光の美しさ 中心で
歌って 眠りにいざなって
薄汚れた路地も
うるさいだけの音も
なにもかも忘れて 今だけは忘れて
希望の光が満ちた通りを
飛べる心の人々を
その瞳に描いて 今だけは描いて
とろける歌で 眠りましょう
夜が明けるまで たゆたいましょう
朝日が再び 汚い心を照らしても
それを待つから なお
歌って 優しい眠りを
優しい眠りを
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夢という響きが
歌うように語りかけるので
優しいイメージを枕元に
たゆたう心をそのままに
現実のなかにまぜこぜ
ファンタジーのかけらを
拾い集めながら
あたたかい綺麗な嘘を
見守りながら
空と風と花とあそぶとき
夜をまとい星は光る
甘美なこのメロディが
ただの逃避や綺麗事だと思う?
時間の無駄でしかないと思う?
それならばこの詩も
小さな小さな言の葉も
そういう類のものでしょう
そういう類のものはけれど
生きるというなかで
いつも傍に浮かんでいて
その夢で眠るわたしは
愛しい物語をつむぐのです
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いつも怯えている
子猫ならかわいいけれど
大のおとなじゃねえ
だって 世の中は理不尽で
人と接するだけで
心を 消費する
そこらじゅう誤解ばかり 空回り
うまく言葉がまわらない
ちがうのに そんな冷たい瞳をしないで
街にみんなの 涙がいりまじる
傷つくのは どうして?
擦り減る心 もう寝なきゃ