詩人:ユズル | [投票][編集] |
哀しみの浜辺で
月のその向こうを見つめる
まだらの記憶の波紋が
ゆっくり現れては 消え去る
音と景色と匂いと味と
あの風の感じ
幸せの空に抱かれた
丸くて甘い夢のしゃぼんだま
帰りたい?
還りたい?
きらきら胸で輝く
なによりも切ない願いは
零せるはずもなく
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時の流れはいつしか環になった
最後にはきっと 繋がるのだ
そう考えるのは 君も僕も同じ
よく晴れた日 窓を綺麗に拭いて
映し出された時の環
消えそうに細く 光を弾いて
雲が現れて 見えなくなった
あれは 君の だろうか
口の中に放り込んだ
ビスケット さくりさくりと
存在を主張しながら
舌の上 消えていった
ビスケットは 僕の時の環に
何を及ぼしただろうか
ビスケットは小さく
小さくけれど さくりさくりと
時の環の形をいずれ 変えるだろう
僕の場合は そう だけれど
一縷の望みも許さぬような
ぴんと張り詰めた糸のように
消えそうに細く 光を弾いて
あれは もう 変わらないと決めた
君の 君の時の環 だろうか
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こんなんじゃ、だめだ
だめ、だめ、だめ。
さまようのだ。
きらきらの宝石箱は
どこへ消えた?
探したってもう、
何もない
あるとすれば
それは新しいもの
美しくやさしかったとしても、
昨日のとは違う
捨てたくない、
消したくない
人生を変えるほどの。
はかないことを
知って、悟って、糧にして
気のせいばかりの毎日を、
結局は眠たい日々を、
逃げていく時間を、
限りある命を、
ああ、すすみたい、逃げたい
何故こんなにも人間が溢れている
そんな目で見ないで
そして、
だめだ、眠たいから、眠って
また別の希望と、
だめだ、
を繰り返そう
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さようならを告げる
準備をしたのだ
とてもよく晴れた日
マグカップ
倒れて
溢れ出した
暖かいスープ
入れ物を失った
そして
支えられていたのは
カップのほうだったと
気付いたのは
いつだったろう
さようならを告げる
準備をしたのに
宇宙は広がるばかり
それなのに そこには
陳腐なさみしさだけ
何をおいても
何をしてでも
失うくらいなら
ねえ
さみしくって
とても耐えられやしないから
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淋しい涙はときに最高のスパイスとなり
時の構造を知らないままに
アリスの心で夢を見た
言葉の真理も知らないままに
詩と名付けて書き連ねた
それは幸せとまでは呼べなくとも
その独特な世界と 距離が
愛しくて 不思議なシンパシーを抱いて
めぐりめぐる季節のなか
僕らはまだ ここにいるね
僕らはいつも ここであえるね
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昔懐かしい歌が
テレビから流れて
僕は目をつむって
ぎゅっとこらえた
いつになったら
辿り着けるだろうか?
時代は過ぎていくけど
僕はいまだ こんなものだ
まどろみと 焦燥の
真ん中でゆらゆらしてる
僕は
君のその瞳が
まったく違う世界を見てる
まったく違う世界を生きてる
そんな気がして
僕の持たないもの
君に惹かれるもの
僕にも教えてよ
君のその暖かい右手にさえ
まだ辿り着けないのだろうか?
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満ち足りない 満ち足りない
どうしてなのかわからないまま
もしかしたら
何も信じられていないのかも
満ち足りないと 感じた気がして
満ち足りない幻覚を 毎日見てる
人生なんて 事実なんかない
全部 幻覚 のようなものだって
わかりかけてきた 今なら
満ち足りない このどうしようもない
焦燥感も きっと
幸せに 変えていけるんじゃないかな
なんて 思いながら
後ろ向きが好きなぼくの
慣れない前向きで
眠りについてみようかな
さびしがりが好きなところは
まだ少し変わらないから
さびしがりを見守っててね
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自分から
背を向けたこと
帰ろうか と言ったこと
言葉のやりとりを止めたこと
さようならと 告げたこと
一度だって
ないんだよ
そう 臆病で
来ないものも
念のため 待っていて
街角 目を泳がせて
所在なく
ただようんだ
似ている わたしたちは
正反対を 演出して
距離を保って
けれど似ていない わたしたちは
わたしは やはり 君を見上げる
僕が上にいるんじゃない
君が自分から下に落ちてしまうんだ
そのとおりだね
綺麗な言葉で綴れない
本音は ただ 醜いだけだろうか
なにもわからないわたしは
わたしたちは
今日も瞳を閉じて 眠るよ
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ネイビーと暗いグレー
混ざり合った真ん中の世界
瞳を開ける前に
確認した呼吸の速度
星の数だけ 人の目
人の心
読んでいるのは誰かの物語の
そのすみっこのわたし
星空に怯えながら
明日に怯えながら
甘えん坊の 優しさで
世界を傷つけてみたかった
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心の平穏を守ろうとした
その逃げを責めたあげく
真っ直ぐに花を見つめられなくなった
悲しげな色 音が 心配そうに飛び回るよ
なんにも間違っていやしないよ
少しずつあったかくほどけだした心は
泣ける場所を見つけるだろう
寂しいと叫ぶ場所を見つけるだろう
そして本当に求めているのはきっと
涙の雨が途切れる瞬間の
きらきらさえ越えて
笑いたい 笑っていたい
ねえ そうでしょう