いくつもの 細くて透明な糸指先に 微かに触れた糸ささやかな その感覚だけすべての糸を 辿ろうとしたそうして 繰り返し胸の奥の風景の 瞬間を探し出す途方もない 悲しみと喜びの間から溢れそうなときは 慎重に誰もいない 草原に流したそうして いつまで声が聞こえても 振り向けないだってもう私は 残ってないそれでも声が ずっとするから誰かがそっと 私を呼ぶから涙を隠し切れなかったんだ
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