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ユズルの部屋


[66] かえらない
詩人:ユズル [投票][編集]


重い足を引きずって
泥にまみれたぐちゃぐちゃを
崩れないように支えて
星の消えない場所に来たら

遠い汽笛を聞いた
畦道を駆けていった
動物の雲を眺めた
軋んだ夢を見た

青々とした樹々を掻き分けて
水溜まりを荒らしながら
ひび割れながらも飛んで
星の消えない場所に来たら

甘い飴の味を知った
還りゆく光に包まれた
蜜を求める虫と出会った
涙目でも夢を見た

ああ、
カチャリとなる
皿とナイフがぶつかる響きが
胸に染み込む度に

温かな湯気のなか
じわりとまとわりつく水滴に
くすぐったくなる度に

ああ、

夢を見た
壊れかけの夢を見た

2008/07/16 (Wed)

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