詩人:風凛 | [投票][編集] |
雨の香り。しっとりとした土の匂い。
汗っかきな窓を開ける。
ぬるぬるした空気がべたべた入ってくる。
流し目の雨雲と目が合って。
目で会釈をする。
窓にひじをつき、ふやけた地平を見て。
わたしはカタツムリみたいに考えた。
ゆっくり。でもしっかり。
これからのわたしは、何がしたいのか。
屋根の眺めが水彩画みたいに透き通り。
たくさんの葉がぱたぱた、かぽかぽ鳴く。
屋根がトタタタッ、タタッとノックされて。
なんでか、
こんな日はとてもゆっくりした気分になれる。
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ある町中に質屋がありました。小さなおばあちゃんが一人で切り盛りしています。
そこへ賭博で借金まみれになった男がやってきました。男は既に友人知人、銀行、挙げ句の果てに闇金融にも手を出し、お金は全て借り尽くしていました。彼は半ば自暴自棄になり、すねた子供のように自分を強がって絶望を無理に無視していたのです。
何でも置いていくから一銭でも出せ、と強い口調で迫る男におばあちゃんは、
『じゃあ、あんたからは記憶をもらおうかねぇ。一番素敵だった記憶を。』
「何?そんなもので良いのか。」
男はたいそう驚きました。
『うむ、何万でも出してやろう…。ただし、二度と思い出せないがね。』
そして、おばあちゃんは男の頭に手をかざし…
数分後の男の手の中にはお札がたくさん握られていました。これでまたしばらく遊べる。
遊べる…?
俺はあの時、何を失ってしまったんだろう…。
男は遊ぶうちにだんだん気になり始めました。そういえば自分に何か足りない気がします。…男はなくしたものを知りたくて、どうしようもなくなりました。
――それから男は真面目に働き始めました。昼はガソリンスタンド、夜はコンビニ。男は一生懸命働きました。
とうとう期限の日がやってきました。男は閉店間際の質屋に文字通り飛び込みました。
「金はここだ。記憶を返してくれ。」
おばあちゃんはびっくりして、でもまたすぐに冷静になって、
『これはあんたが稼いだのかい?』
と聞きました。男は大きく頷きました。
『そうかい、実はわたしはあんたから記憶をとったりはしてないんだよ。』
男はまた、たいそう驚きました。
『でもあんたは頑張った。いいかい、今度はそのお金で借金を返してらっしゃい。そうすればあんたか今まで求めてたものも掴めるんじゃないかい?』
男ははっとして、店から駆け出していきました。
男の行方は誰も知りません。
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オレは今日も音を創る createするんだ オレの世界を。 マイスタージンガー(歌手)として。
大衆ウケする作品で ヒット飛ばしてやりたいぜ! っつー欲求は本当はある。
デモな、
オレはそれ反対。 大衆を追っかけたら 必ず自分を見失う。今は無くともいつかはそうなる。
だから、自分の世界を信じるんだ。崇めるんだ。自分教に入れ。自分の世界を突き詰めたら、スゴいモノがきっとある。
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凄みの効いた笑みの端 煙草をくわえ 今日も戦へ アメリカンDREAMまっしぐら オイラは屈指のギャンブラー 負けたがどうした こっから勝って払ったる 払えなければ逃避行 疾風迅雷すがた眩ましプロのプロ ギャンブル依存? もち重傷 生きるか死ぬか半分か 札束がばっと ひっつかみ 今日も運に命をかける
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ごめん、今までネガティブになりすぎていた。
あなたはいつものように私の為に本気で怒っただけだ。
しかし私はいつものように、それを受け入れようとも、いや私の耳に入る事すら拒絶してた。
私はそういう嫌な私自身から目を背け、無視し、無理矢理、正当化していた。悪いのは全てあなただと思っていた。私は絶対間違ってなどいない――。
だか、その後、気づかされた。私は一人になってあなたの言う事の正しさをだんだん理解するようになり。頑なに拒絶し続ける私の存在を認識した。
その時から私のベクトルが逆向きになったんだ。それからの私は嫌な私を意識する事を始めた。
それからと言うもの、ストレスや嫌悪、その他の汚いものが私の中から減退していくのを感じるようになった。プラスの感情がどんどん沸き上がって、私は今では前向きに物を考えられるようになった。
…ごめん、まだありがとうを言ってなかった。この感謝のキモチは、あったかいままで必ず届けに行く。
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鐘は広い市街に鳴り響きわたるのが仕事。
外灯はつめたい夜をまあるく照らすのが仕事。
雨は遥か天空から大地に向かってひたすら降るのが仕事。
風は大空を駆け巡り地球を旅するのが仕事。
そして私はここに存在するのが仕事。
そう、ずっと、あなたのそばに。
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―――ふと『俺』が横を見ると、
生まれた言葉を国家に反する記述のように、黒で塗り潰す【俺】が三人。
「やめてくれ!!なんでこんな事するんだ!!」
『俺』はただ消される言葉たちが可哀想で。
三つの空虚な声が答えを重ねる…
[オマエの言葉が他人と違うから、消す。]
[オマエの言葉が目立ちすぎるから、消す。]
[オマエの言葉なんかに誰も同調したりしないから、消す。]
こうして『俺』は石垣となった。
一般人
と
い
う
巨大な石垣の
一つの
石
となった。