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風凛の部屋


[130] 星のつまらない話。
詩人:風凛 [投票][編集]


居場所は天
周囲は数億光年の闇夜
私は星だ
王子でも何でもないが
しかし
または闇かもしれぬ

最近
虚を気取っている星だ



かつて
地球と呼ばれる仲間を知り
彼の表面をかけずり回る『人間』を知った
人間は短命だった
だがその短い間に多彩な生き方をする珍しい生き物だった
私はその珍しさに惹かれしばらく彼らを観察した



彼らは自ら物質を加工し地球を自分好みにカスタマイズし
その発展を互いに喜び合っているようだった
私は妬ましく羨しかった
私に無いものを持つ彼らを羨んだ



なんとまぁ、器用な民かと思っていたが…
彼らはなんとも非合理だった
造り壊し造り壊し…
なんとも無意味だ
悲しみを悲しみで塗り返す
私は彼らに同情した
私に無いものを持つ彼らに同情した



だが今はもう何も考えない事にしたのだ…
彼らのもたらす喜びと失望
もう振り回されるのは懲り懲りなのだ
だから目をつぶり
今までのように
闇で空虚な星に戻る

長い月日の後、再び地球を覗いてみよう
彼らは我らの合理の知を得ているかも知れぬからな



沈黙の知を

2006/02/15 (Wed)

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