詩人:トケルネコ | [投票][得票][編集] |
むんずと掴んだ鼻毛には 抜いて初めて分かったことだが
予想以上の長さがあり 私が始めに想像したのは
あの黒黒光る ゴキブリ虫の触角でした
深夜にがなる改造車の爆音と 兄が食べるヌードルの咀嚼音は等しく不快で
私が見つめる鼻毛の長さを測るのを思いついた訳とはなんの関わりもございません
母もよもや自慢の息子が深夜三時に嬉々として 鼻毛の長さを測るなど
私を産んだ時分には想像一つしますまい…
空は青く 夜には黒い 黒いはカラス カラスは漁る
漁るは何だ 漁るは袋 半トーメーなゴミ袋 そこには何が入ってる?
私の欠片が入っている 10mmジャストの私の鼻毛が底にある
切れたものは戻らない 切られたものは何処へゆく?
泣いている 風に吹かれて泣いている
ユラユラユラユラ繋がり求めて泣いている
改造車を乗り回すアンちゃんも スモークガラスの向こうで泣いている
黒黒とした夜の底で 太陽に干からびたアスファルトの溝で
ユラユラユラユラ ユラユラユラユラ・・・・・
そして六時の時報が鳴り 私はいつも通り眠りにつくのでした