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トケルネコの部屋


[127] カーボンナイト
詩人:トケルネコ [投票][編集]

カッターの刃は美しい灰色だった

今日もいたゲーセンの賢者が呟く箴言
騒がしい光に掻き消され誰もが気付けない

男はじっとモニターを見ている
まるでその奥に真の価値ある宝石が眠っているかのように

サウンドが絡まる 鼓動に挟まる

なぞった刃はそれぞれの色に溶ける
エレベーターに乗る無機質な泣き声
窓から見下ろす濁りゆく川
男が座っていた椅子に光が陰を落す

「お前は何を落とした?」

声に振り向くと誰もいない
ただ眩しくクレナイ夜が更けてゆく

彼をその日以来見た者は、いない



2010/05/04 (Tue)

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