透明な海に沈んで深海の底から見上げては手が届くようで届かない綺羅綺羅とまばたく空淡い音色の波に包まり魚と鳥が楽し気に交差するあれは、水と光の燦乱する空このまま上へ上へと泳いでいったらスっと放たれそうな残酷な空それは新しい影纏い 櫂のない難破船を焼き尽くし透明な朝に届く手紙ゆっくりと手をかざし 欠けた爪のばし 触れたら散らばる少年の空
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