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トケルネコの部屋


[160] ‐N‐
詩人:トケルネコ [投票][得票][編集]

悲しい夜は何処へでもない声を聞く
左の手の平にイチジクの葩を載せてみる
悲しい声は何処へともなく空に還る
満開の枝の下 ただ月を眺める

あなたはもうここへは来ない
あの子はもう ネムノキの奏べに呼ばれてしまった

不器用な椅子は座ることを許さず
見境もない心を腫らすことになる
雲は隠れ ムネの淡い地層に沈み
太古の化石に花がひらく

愛をください
流すべきものを知ったなら

罰をください
言葉では届かない由々の地平へ

識をください
原石の砂浜の静謐を辿って

満開の燈ごしに街を綾取る電線
あなたはもうここには居ない
あの子はもう ネムノキの風にさらわれてしまった



2010/04/08 (Thu)

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