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トケルネコの部屋


[169] Vacant 光ノ滄溟
詩人:トケルネコ [投票][得票][編集]


遠い形式が僕を狂わす

罪のサザンカは正直者に咲くから
逸る影もない海峡に 拡散と零れる情景達
 一人 隣 双つ 波に運ばれる月精
火葬場の木蓮が静かに命を焦がしている

音も無い空へ
指先の呼吸で

偽りを知ることは 何を許すことなのか
抽き出しのアルバムに君を訪ねる

海を知る
夏を知る
ヒトイキレの熱を知り
悲しみを知らなかった僕らは 水門の木の葉をただ眺めていた

あの日の声を聴く
犠牲の太陽が沈むままに
君は星を拾った

底からは水が湧いている
あの物語はもう映らないまま
愛しいと言葉にすることで 何が過ぎ去ったのか

正しい報いしか求めなかった僕らは

せせらぎの音にすら 声を失う



2010/03/30 (Tue)

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