君はカナリアの歌盲いた老犬の肺仄かな、仄かな微熱に支えられ風下にたつ電柱秋は叢海のガラス絶望をくすねる指明日へのあわいへとダンスも知らない貴婦人のドレス夏は少年の背骨フィレンツェに零れた思弁荒荒しく削っては演出を爪弾く氷のトーテム春は黒いビデオテープ映した瓶底の船影儚く恥ずかしい勇壮なる葬列息絶える処女の樹冬はカナリアの籠目覚めた夜の茨遥かな、遥かな頭上に煌めく衛星姓名のない光
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