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トケルネコの部屋


[183] 徽光季記
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君はカナリアの歌
盲いた老犬の肺
仄かな、仄かな
微熱に支えられ
風下にたつ電柱

秋は叢海のガラス
絶望をくすねる指
明日へのあわいへと
ダンスも知らない
貴婦人のドレス

夏は少年の背骨
フィレンツェに零れた思弁
荒荒しく削っては
演出を爪弾く
氷のトーテム

春は黒いビデオテープ
映した瓶底の船影
儚く恥ずかしい
勇壮なる葬列
息絶える処女の樹

冬はカナリアの籠
目覚めた夜の茨
遥かな、遥かな
頭上に煌めく衛星
姓名のない光



2010/04/26 (Mon)

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