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トケルネコの部屋


[210] エトランジェ晩夏
詩人:トケルネコ [投票][得票][編集]

誰も崩れた土俵でガキと相撲をとってた夏
祖母は産まれた

ペシミズム 遺伝さ、あんな空 グラマンに盗まれた空
大空襲 焼け出された季節に 祖父は一人指を吸っていた
眠れ 俯きだしたらキリがない、並走してりゃいつかは乾くさ
イマは 何も聞こえないんだろ? いつか 夜が墜ちるまで、イマは…

ささくれだって節張った
あなたの背中は思い出せない
明日 みかん箱が潰れて静かに寝息が生まれたら 
好きなだけ読める 捲れなかった青春のプロローグ
好きなだけ食える 半分個した歓びも あの空の果実も

さようなら 星はいくつ流れるだろう?
さようなら 僕は何を流すのだろう?
母は声を枯らして歌うはず
祖父は閃光に包まれているはず
ばあちゃん あなたは何を喉に詰まらせて
ひどく苦しげに笑うのか


さようなら 瓦礫の腕をした天使

さようなら 蜃気楼に燃える沈丁花の景


2010/06/20 (Sun)

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