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トケルネコの部屋


[227] Deus X Macine
詩人:トケルネコ [投票][得票][編集]

路上
晴天
AM *:**

不気味な男がおる
その男は時計を持たない
忘れたのか、捨てたのか
とにかく時を顧みない

不気味な男がおる
汚れた衣服を纏い
背中には袋を背負っている
何かが…みっしり詰まった袋を

無菌な月が昇っておる
だが男は上を見ない
見てもしょうがないから、上は見ない

路上
雨曇り
PM *:**

不気味な女がおる
その女は傘を持たない
忘れたのか、捨てたのか
とにかく雨に濡れている

不気味な女がおる
洒落たヒールを履いて
ブランド物のバッグを抱えている
何も…入っていない小さなバッグを

穢れた水溜まりが広がっておる
だが女は下を見ない
とうに見飽きてしまったから、下は見ない

路上
交差点
『時間です』

不気味な男と不気味な女が擦れ違う
互いに互いを見ることはない
男は背負った袋から何かを産み出す
産声が女の空っぽのバッグに谺する


男は走る

女は揺れる

男は走る

女は嗤う

男は月を抱き込む

女は水溜まりに沈む


互い互いを見ることは永遠になかった



2010/10/14 (Thu)

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