詩人:トケルネコ | [投票][得票][編集] |
その眼を突き その舌を焼け
ふるいにかけた砂のように
零れる言葉を浴び 隠れた禁欲に溺れよ
愛は
疑う者を挽き裂き 信じる小羊にその血肉を与える
夢は
絶命した虎よりも厚く その生臭い毛皮にて小羊を守る
疑うことなかれ 慎むことなかれ
刻は
日々病む蒼草の老婆の如く 白濁した眼差しで子羊を貫く
夜は
指先についた疼歯の臭いより 芳しい粘液で小羊を洗礼す
疑うことなかれ 悼むことなかれ
祝福せよ
獣の伯爵は七日七晩踏まれ
何度も何度も 捻れ蘇るだろう
死は!
煌めく少女の眼窩を空け その股より這い出る
生は!
はためく少年の翼を折り 冷たい海蛇と交接さす
届かない手を挙げよ 掴めない指を開け
朝は
灼熱の湯と赤子の叫喚を 怯えた小羊の群れに放つ
神は
上下する喉仏の中の 磨り潰された羊肉を愛す
疑うことなかれ 安まることなかれ
祝福せよ
獣の伯爵は七日七晩吊られ
何度も何度も 母の腹を打つだろう
蝿が舞う
世界が回る
地獄の縁が崩れだし
烙印は窓辺に現われる
死は……
永劫の夢となり 終わらない苦悶が始まる
オマエは…!
その夢を喰らい またとない咎人のウタを吐き続けるだろう